プロダクトデザインの未来は?【 テクノロジー 】
私たちは、さまざまなトレンドや テクノロジー に注目し、プロダクトデザインの未来を予測していますが、空飛ぶ車が云々ではなく、現在の技術がどのように進化していくかに焦点を当て、プロダクトデザイナーやデベロッパーがイノベーションを起こす真の機会が明らかになりました。
本記事では、AI 、VUI、「コードからデザイン(code-to-design)」を含んだ テクノロジー についてや、ARとVR、HCD、そしてスマートシティにおける主な6つの点についてお話します。今後10年以上にわたって、デバイスやプラットフォームを超えた完全な相互接続システムが求められる中、プロダクトデザイナーにとってのチャンスは計り知れません。
「コードからデザイン(code-to-design)」は製品開発の未来であり、すでにここにあります。UXPin Merge テクノロジー でデザインと開発の間のギャップを埋めませんか。詳しくはMergeのページをぜひご覧ください。
1.AIとデザイン職の未来
プロダクトデザインの未来を語る上で、AI(人工知能) をまず持って来ないと何も始まりません。この テクノロジー がプロダクトデザインや UX をどのように形成するかについては、非常に多くの予測がありますが、ここでは私たちが知っていることをご紹介します。
データの解釈
AI や ML(機械学習)は、データの解釈に最も長けており、このようなモデルは、データを使ってユーザーの行動をよりよく理解し、結果の予測や、パターン(いい場合/悪い場合)の特定をできます。このデータ分析能力こそが、AI が短期的にデザインチームに最も貢献するところです。
AI モデルは、製品の分析、ヒートマップの作成などを行い、UX リサーチャーにデータの意味の正確な診断や、問題解決のための提案を行うことができます。このような分析により、調査時間が短縮され、チームはユーザビリティの問題をより早く解決できるようになります。
AI モデルの進化に伴い、AI のプログラミングが変更され、こうした細かい問題を自律的に解決することができるようになります。
QAの自動化 と UXの監査
QA(品質保証)とUXの監査にはかなりの時間とリソースがかかりますが、高品質でエラーのない製品の開発には不可欠です。このタスクを AI に委ねることで、製品の品質を高めつつ、製品チームがより効率的に動けるようになります。
個別化の向上
AI によって、製品チームは個別化をもう一つ先行くものにできるようになり、デザイナーは、個別化されたコンテンツの代わりに、各ユーザーのニーズに合わせたナビゲーションやインタラクティブ性、レイアウトなど、カスタマイズされた製品を提供することができます。またAI で、ユーザーはアルゴリズムをカスタマイズして、特定のコンテンツ、データ、フィードバックを与えることができるようになります。
AIが作り出すデザイン
Galileo AI や Uizard のようなツールは、テキストの指示に基づいてUIデザインを生成します。このようなツールが進化すれば、製品のデザインシステムのコンポーネントを使って、より速くモックアップを作成することにより、UI デザイナーの手助けになることができます。
UXとChatGPT
すでに遭遇したチャットボットAIの意外な使い方で、以下のようなものがあります:
- 仕事の特性を理解し、ニーズをよりよく理解するための、(例えば飛行機のパイロットなど)狭いターゲットグループのユーザーへのインタビュー質問。もちろん、インタビューのサポートや知識を深めるためのもので、ユーザーインタビューに取って代わるものではない。
- 特定のターゲットグループのユーザーに合わせたランディングページの、キャッチーなマーケティングスローガンの生成。
- 業界イベントでの専門家によるプレゼンテーションのためのアジェンダ作成。
もちろんそれだけでなく、Chat GPTでのチャット上で、来年は UX/デザイン/リサーチ での分野でそのポテンシャルをどのように発揮できると思うか質問したところ、以下のような回答がありました。
「UX ライティング:UI(ユーザーインターフェース)の複数言語オプションを生成するためにチャットGPTが使われます。ボタン、ラベル、エラーメッセージなど、UI で使用する複数の言語オプションをサッと生成するのにChat GPTが使われるでしょう。それによって、デザイナーはどの言語オプションが目的の達成に最も効果的かを理解することができ、製品の UX を最適化できるようになるでしょう。」
「リサーチ:Chat GPTをユーザーリサーチに活用する方法の1つに、チャットボットインタビューの活用があります。チャットボットインタビューでは、デザイナーは Chat GPTを使って、ユーザーの好みや経験について質問する会話型チャットボットを作成することができるでしょう。そして、チャットボットはChat GPTを使って、ユーザーの回答に対して人間のような応答を生成することができ、それによってデザイナーは、ユーザーがどのように考え、製品に何を求めているのかの貴重なインサイトを得られるようになるでしょう。」
「デザイン:ユーザー向けに個別化された応答を生成するのにチャットGPTが使われます。チャットGPTは、ユーザーの好みや行動に基づいて、ユーザーに個別化された応答を生成するために使われるでしょう。例えば、チャットボットがチャットGPTを利用して、ユーザーの過去の購入履歴や興味に基づいて個別化されたおすすめ情報を生成することが考えられます。これによって、より個別化された魅力的な UX が実現され、製品へのロイヤリティやエンゲージメントが上がるでしょう。」
では、準備万端でしっかり注意深く見てテストすることを忘れないでください。AI で、私たちの仕事は支えられ、大切なことにもっと時間をかけられるようになりますからね。
2.VUI の充実
Statistaの調査によると、2020年の VUI(音声ユーザーインターフェース)は42億件で、2024年には約84億件までなると予想されています。このStatistaのレポートが AI を考慮したものかどうかは不明ですが、2022/23年に AI や ML が急成長すれば、VUI は84億を超えるかもしれません。
VUI は日常生活に浸透していますが、このシステムは、例えば自動車の音声制御や産業用アプリケーション、航空、その他の複雑なシステムなど急速に高度化・統合化されています。
2023年版の MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)のシステムは、AI を活用したボイスコントロールとタッチコントロールを備えており、他のスマートホーム機器とペアリングすることで、「メルセデスさん、今、私の家に誰かいます?」、「見た感じ、最後に検知された動きは、1時間前にキッチンで検知されたものですね。」といったやり取りができるようになります。
テスラのボイスコマンドはさらに進化しており、ドライバーは車に特定の目的地までの運転を依頼したり、ワイパー、ライト、ミラーなどのコントロールを調整したりすることができます。
3.コードからデザイン
デザインツールの進化に伴い、デザインプロセスでより多くのコードを目にすることになるでしょう。UXPin はMerge テクノロジー でこの「コードからデザイン」革命を牽引しており、この技術により、プロダクトチームはレポジトリから UXPin のデザインキャンバスにデザインシステムを同期させることができ、デザイナーはフロントエンドデベロッパーが開発に使うのと同じ UI コンポーネントでプロトタイプを作成できるようになります。
「コードからデザイン」は、すでに PayPal の社内製品開発プロセスに大きな影響を与えており、PayPal の UXリードEPX であるエリカ・ライダー氏は、これを「DesignOps 2.0」と呼んでいます。DesignOps 2.0は、デザインと開発を分離した従来のモデルではなく、デザインと開発を単一の反復プロセスに統合するものです。
『信頼できる唯一の情報源(Single source of truth)』により、プロダクトチームは、より少ないエラーとより高い品質の成果で、より速いプロジェクトの提供が実現します。デベロッパーとデザイナーがまったく同じコンポーネントを使用するため、デザインハンドオフが摩擦なくスムーズに行われ、最終製品を提供するのに必要な文書や説明が少なくて済むのです。
「コードからデザイン」は、新しい製品開発の標準となり、デザイナーは画像ベースのデザインツールの代わりにコードコンポーネントを使って、製品のプロトタイプやテストを行うようになるでしょう。
4.AR と VR
AR (Augmented Reality:拡張現実)やVR(Virtual Reality:仮想現実)は以前からありましたが、企業がエンターテインメント目的ではなく、実用的な用途で技術を活用するようになったのは、最近になってからです。
例えば、ビジネス テクノロジー 大手の Accenture では、AR や VR を利用して、バーチャルでのコワーキングオフィスや新入社員のオンボーディング、トレーニングプログラム、その他のイベントなどで、グローバルに働く人々を繋いでいます。また、Microsoft Mesh は、こうした連携システムのための企業向け AR プラットフォームの1つで、Teamsと統合されています。
トレーニングは、このような AR システムアプリの中で最も成長しているものです。組織では、特にリスクの高い仕事、複雑な作業、最前線で働く従業員のトレーニングに AR や VR が使われており、Vsight と Glartek の2企業が、この種の AR トレーニングを牽引しています。
また、AR や VR は、B2C 市場でもブームになっています:
- Houzzでは、ARを使った 3D での間取り図で、リフォームした家がどんな感じになるかを顧客に提供している。
- Wayfair 社では、同様に 3D の間取り図を提供しいる。
- 「L’Oréal Paris Makeup Genius app 」アプリは、美容製品をバーチャルで試し、気に入ったものを購入することができる。
この技術はまだ発展途上であるため、今後10年間はイノベーションの余地が大きいと思われ、AR や VR 技術の需要が高まるにつれて、プロダクトデザイナーの仕事や役割も増えていくでしょう。
5.HCD(人間中心のデザイン)
ニールセン・ノーマン・グループのドン・ノーマン氏が提唱した「ユーザー中心のデザインから人間中心のデザインへの転換」という興味深い記事が、インタラクションデザイン財団に掲載されています。HCD(人間中心のデザイン)は、個々のユーザーではなく、複雑な地球規模の問題に対する最良の解決策を求めるものです。
デザイナーは、「軽薄な欲求やドーパミンを満たすのではなく、社会にポジティブな影響を与える製品をデザインする」という目的のもとに、複雑で相互に関連する社会システムに製品がどのような影響を与えるか、そしてそれが将来どのように進化していくかを考慮しないといけません。
HCD は、新しい技術やトレンド以上に、製品をデザインする際に持続可能性や倫理を考慮し、製品が社会や環境にどのような影響を与えたいかを考えるというような、デザイン思考の考え方の転換を表しています。
6.身近なプロダクトデザイン
行政サービスのデジタル化が進むにつれ、デジタル製品や IoT に対する需要が高まっています。スマートシティが機能するには、相互に接続された多くのデバイスやシステムが必要であり、それは民間企業による大規模な製品開発とイノベーションであるということです。
そして、そのようなものには、デザインするためのインターフェースもちゃんとあるんです!
スマートシティがデジタル製品やインフラを必要とする事例は、 Microsoft でいくつか紹介されています:
クラウドコンピューティング
クラウドベースのインフラは、スマートシティのアプリやシステムのサポートに必要な基盤であり、国や都市は、国家や市民のデータを保護するために、Google Cloud Platform や AWS(Amazon Web Services)のローカライズ版を開発する必要があるでしょう。
AI(人工知能)
AI(人工知能)とML(機械学習)は、センサーやカメラの監視からデータの分析、リアルタイムでのフィードバックやソリューションの提供まで、スマートシティにおいて重要な役割を担っています。
IoT(モノのインターネット)
スマートシティでは、スマートゴミ箱から完全自動運転の公共交通機関まで、多くの IoT 製品が必要であり、このような製品には、自治体や県が管理するためのプラットフォームやソフトウェアと、ユーザー向けの操作のための接続されたデジタル UI やアプリが必要です。
ブロックチェーン
マイクロソフトによると、「組織や政府は、より効率的なサプライチェーンの構築、複雑なプロセスの簡素化、不正行為の削減、取引の迅速な検証のために、この革新的な技術に投資しています。」とあるように、ブロックチェーンの技術はスマートシティに不可欠です。
ブロックチェーンで都市の統治がより透明化されて、市民が予算や支出をより明確に把握できるようになります。ちなみにスマートシティの代表格であるドバイは、3億ドル以上を投じてブロックチェーンをサービスに組み込んでいます。
一都市でのこの支出は、製品開発者が世界中の国や都市を対象としたソリューションを作成・管理する機会が非常に大きいことを示しています。
UXPin Merge テクノロジー による未来のプロダクトデザイン
従来の UX デザインの手法やワークフローは、遅くて面倒なものであり、デザインからコードまでのプロセスは非効率的で、現代の テクノロジー や要求に応えるために必要なスピードと正確さを促進することはできませんでした。
UXPin Merge テクノロジー と “コードからデザイン” は、製品開発の未来形です。効率的なデザイン手法により、経験があまりない個人事業主から多国籍企業まで、誰でもコードのように忠実で機能的なアイデアを試作・テストすることができるんです。
コードからデザイン(code-to-design)が製品開発を強化する理由は以下のとおりです:
- 一元化されたレポジトリからデザイナーとエンジニアの間に「信頼できる唯一の情報源(Single ource of truth)」ができることで、デザインからコードまでのワークフローにおける非効率と課題が軽減される。
- 製品チームがデザインプロセスにおいてより良い機会を特定し、より多くの問題を解決できるよう、リアルなプロトタイプがテストを改善する。
- リアルでインタラクティブなプロトタイプは、ステークホルダーが最終製品を正確にイメージできるため、有意義なフィードバックが得られ、デザインプロセスへの信頼が高まる。
- 「コードからデザイン」で、品質はより良くなり、ユーザビリティの問題を減らすため市場投入までの時間を短縮し、それによってスタートアップ企業は企業組織との競争場に立てるようになる。
世界最先端のエンドツーエンドデザインツールで、製品のデザインプロセスを未来へと導きます。詳しくは、Merge テクノロジー のページをぜひご覧ください。