UXデザイナーのための生産性向上7つのヒント
プロジェクトの納期が厳しいUX担当者やプロダクトマネージャーにとって、生産性の最大化は極めて重要です。また、スタートアップ企業や小規模なチームでは、限られたリソースを最大限に活用するために、UXの生産性向上のヒントが求められています。
先延ばしに悩んでいる人も、UXデザイナーとしての価値を高めたい人も、本記事でUXチームの生産性を最適化するための実践的なアドバイスをご紹介しましょう。
世界最先端のデザインツールで、UXワークフロの効率化をしませんか。コンポーネント駆動型プロトタイピングをお試しになり、今すぐ生産性を 10 倍にしましょう。Merge があなたとチームに何ができるかをぜひご覧ください。詳細はこちら。
「UXデザイナーとして生産性を高める」とは
UXデザイナーとして生産的であることは、アウトプットを効率的に最大化するということです。この言葉はどんな職業にも当てはまりますが、UXデザイナーとDesignOps実践者にとっては、デザインの価値を実証しなければならないことが多いので、不可欠な言葉です。
UXの生産性が意味するものの例として、以下のようなものがあります:
- 締切厳守
- デザイン投資に対するプラスのROIの実現
- ゼロからのデザインを最小限に抑え、ユーザーの問題解決にかける時間を最大化するための解決策を見出す。
- UXワークフローとデザインプロセスを最適化するツールの活用
- 組織内で顧客を代表し、UXを提唱する
- オンボーディングにかける時間を短縮するためのシステム導入
- デザインスプリントやブレーンストーミングのセッションを効果的に活用し、大きな問題を速やかに解決する。
- 部門を超えた連携のためのチャンネルを作り、アウトプットを最大化し、エラー、ドリフト、再作業を最小化する。
忙しさと生産性
悲しいことに、私たちの生活には多くの雑念がつきまといますが、その「雑念」は、メールや無意味なZoomコール、Slackなど、仕事のように思えてしまい、そのような雑念に没頭しても、一日中何もできていないことになり、忙しいのに生産的ではありません。
生産性とは、目標達成に近づける成果を出すことであり、生産性の高いUXデザイナーは、組織がUX戦略や製品ロードマップのビジョンを達成できるようサポートするのです。
UI/UXデザインの生産性向上のヒント7選
この生産性向上のヒントの中には、UI/UXデザイナーに当てはまるものもあれば、より一般的でどんな職業にも適用できるものもあります。
1. イチから始めるのを避ける
UXデザイナーの仕事は、きれいなUIを作ることだと誤解されていますが、UXデザインは、「ビジュアルデザイン」というよりも、人間の問題を解決する「UX(ユーザーエクスペリエンス)デザイン」なのです 。
UXデザイナーがコンポーネントやユーザーインターフェースを一から作るのに時間をかけると、デザイン関連の仕事をしているにもかかわらず、生産性が落ちてしまいます。
そこで、デザインシステムを使うとデザインを一からする必要がなくなるため、デザイナーはUXとユーザーニーズに集中でき、デザインの効率性とUXの生産性を上げることができます。多くのオープンソースのコンポーネントライブラリがあり、組織でカスタマイズしたり、デザインシステムを一から構築することができます。
UXPinにはデザインライブラリが内蔵されており、デザイナーはユーザーテスト済みのコンポーネントやデザインパターンを使って画面やレイアウトを構築することができます。これらのコンポーネントを製品/ブランドの要件に合わせてカスタマイズし、UXPinのデザインシステムに保存すると、ライブラリの共有、権限の設定、ドキュメントの作成が可能になります。
2. コンポーネント駆動型プロトタイプ
コンポーネント駆動型プロトタイプは、デザインシステムを採用する次のイテレーションです。デザイナーは、レポジトリにある既製のインタラクティブなコンポーネントを使ってUIをデザインしますが、そのUI要素には、デザインシステムで設定された色、タイポグラフィー、スペーシングなどのスタイリングと制約が含まれているため、デザイナーはドラッグ&ドロップするだけで製品や機能を構築することができます。
このようなインタラクティブなコンポーネントにより、デザインチームは最終製品の正確なレプリカを作成することができ、ユーザビリティ担当者やステークホルダーは、ダイナミックで没入感のあるプロトタイプとのインタラクションが実現します。この高度なプロトタイプは、UXデザイナーがプロジェクトの成果を最大化するために使える有意義なフィードバックと実行可能なインサイトをもたらします。
PayPal、Iress、TeamPasswordなどの企業は、UXPin Mergeを使ってレポジトリのコンポーネントをUXPinのデザインエディタに同期させ、組織全体で「信頼できる唯一の情報源(Single source of truth)」を作成しています。 ちなみに、Mergeとコンポーネント駆動型のプロトタイピングにより、PayPalの生産性は大幅に向上し、製品デザイナーはUIを以前より8倍速く構築できるようになりました。
3. ワークフローのコントロール
Amazon Alexa Smart HomeのシニアUXデザイナーであるオムカール・チャンドガドカール氏は、チームの計画性と生産性を最大化するために、デザインオファリングのフレームワークを作成しました。
彼のチームは、次のステップの速やかな特定やリソースの割り当て、および作業の開始のために、このフレームワークをプロジェクトのインテイクとバックログに適用しています。そしてこのフレームワークには以下の3つの製品で構成されています:
- 水平線クラスプロジェクト:今後X年間の製品ビジョンの作成と実行(長期プロジェクト)
- 山クラスプロジェクト:12ヶ月以内に発売するエンド・ツー・エンドのデザインプロジェクト(中期プロジェクト)
- 平野クラスプロジェクト:UXの最適化、ユーザビリティの問題点の修正(短期プロジェクト)
デザイン提供のフレームワークをはっきりと定めることで、UXチームは以下のように生産性を最大化することができます:
- プロジェクト受入時の電話や会議の削減
- プロジェクトのロードマップ作成(Trello、Asana、Airtable、Notionなどの製品管理ツールの共有)
- リソースの事前割り当て
- 新たな人材や契約社員の雇用など、リソースの問題の早期特定とその準備
- ユーザビリティに関する問題解決専門の「プレインズプロジェクトチーム」のような専門チームの設置
4. DesginOps思考
DesignOpsを導入することで業務効率が上がり、結果的にUXの生産性が上がります。また、DesignOps思考で、デザイナーが一緒になってインパクトのあることを成し遂げる事ができるようになります。
多くの人はDesignOpsを「企業のUXソリューション」として見ていますが、スタートアップや中小企業でもその考え方や原則を適用することができます。DesignOpsは、デザイン関連のタスクのための標準化されたツール、テンプレート、ワークフロー、およびポリシーに関するものですが、全員が同じプロトコルに従うことで、UXチームは連携、一貫性、生産性、および品質の成果を上げることができるのです。
DesignOps戦略に関するこの記事では、DesignOpsの成熟度の4つのステージが紹介されています。最初(第0ステージ)、大体スタートアップや小規模なチームでは責任者がいませんが、UXチームには生産性を最大化するためのツールやプロセスがあります。
第3ステージまでには、DesignOpsチームとして、DesignOpsリーダーとDPMが業務プロセスを管理・最適化する体制が確立されます。 DesignOpsは、UXチームからオペレーション業務を取り除き、UXと問題解決に集中することで、デザインの有効性と生産性を最大限に高めることを最終的な目標としています。
5. 技術協力
DesignOpsの役割のひとつは、デザインチームと部門を跨いだ連携の促進です。デザイナーにこのような運用の仕組みがなくても、連絡と連携のためのチャンネルを作ることは、UXの生産性向上のために必要不可欠です。
デザイナーとエンジニアのチームは、異なるツールや制約の中でプロジェクトを遂行するために協力しなければならないことから、連携は非常に重要です。この部門間の協力が不十分だと、デザインドリフト、摩擦、UX負債/技術負債、混沌としたデザインのハンドオフ、プロジェクトの遅延など、さまざまな問題が発生します。
デザイナーとエンジニアの連携を高める努力は、以下のようなポジティブな結果しか生まないのです:
- Spotify:「デザイナーとエンジニアの密な連携により、よりスムーズで楽しいプロジェクトが実現しました。」
- Airbnb: Design Language Systemを作成–「デザイン言語とコードを共有することが多いので、すべてのネイティブプラットフォームでほぼ同時に機能を構築してリリースできるようになりました。”エンジニアとデザイナーが共通言語を共有できるようになったのです。」
- Segment:プロダクトマネージャー、デザイナー、エンジニアが活躍し、プロジェクトを効率的に設計・納品しているところに、二段構えの製品開発プロセスを導入
6. 深堀り
キャル・ニューポート氏は、著書『Deep Work』の中で、雑念のない仕事のセッションの重要性について概説しています。「ディープワーク」とは、外界を遮断して、タスクやプロジェクトの完了に集中するプラクティスのことです。
キャルは、歴史上最も成功した人々がディープワークを使っている例をいくつか挙げています。技術系では、マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツが最も有名な例です。ビルは定期的に7日間の研究休暇(彼の「思考週間」)をとり、本や研究資料を持って小屋にこもり、アイデアについて考え、問題を解決しているのだそうです。
山小屋での保養は、誰でもできる贅沢ではありませんが、UXデザイナーには、より深く、より良い結果を得るためにできることが以下のようにあります:
- シャットアウト:仕事の合間に、チームメンバー、家族、SNSやすべてのデジタルコミュニケーションから完全に切り離す時間を90~180分ほど持ちましょう。
- 計画:インターネットとその多くの雑念を避けるために、各セッションの前に必要な研究を集めるようにしましょう。このように計画を立てることで、資料を探す無駄な時間が減り、目の前のタスクに最大限に集中することができます。
- 優先順位付け:各セッションの目標を設定し、「やることリスト」を作りましょう。キャルは、自らのお尻に火を付けて物事を成し遂げようとすべく、高い目標を設定することを勧めています。
また、彼は、プライベートでも「ヒマ」の重要性を強調しています。例えば、行列に並んでいるときや、ゆっくりした時間を過ごしているとき、とりあえず本能的に、SNSやその他のニュースフィードをチェックするためにスマホに手を伸ばしてしまいますが、この衝動と戦うことで、ディープワークのセッションでより集中できるように脳を鍛えることができるのです。
7. 職場環境の最適化
神経科学者であり、スタンフォード大学医学部神経生物学教室の教授でもあるアンドリュー・ヒューベルマン氏は、「科学的根拠に基づいた優れた生産性のヒントとワークスペースの最適化」を提案しています。 ここでは、彼によるお役立ち記事「5 Science-Based Steps to Improve Your Workspace」の要約を紹介します:
- 立ち座り:30分ごとに「立つ」と「座る」を切り替えると、”首や肩、背中の痛みが軽減され、さらに運動の良い効果をいくつか増強することができる “と言われています。
- 正しいタイミングを計る:アンドリューは、1日のうちで身体が通過する3つのフェーズについて概説しています。その時間帯にどのような仕事をするかを計画することで、パフォーマンスと生産性に大きな影響を与えることができます。
- 画面の配置:画面が真正面か少し高い位置にあるようにすると、覚醒度が上がり、常に下を向いていると、「落ち着きや眠気に関係するニューロンが活性化」されて集中力が下がります。
- 音:ホワイトノイズ、ピンクノイズ、ブラウンノイズは、45分のセッションで集中力が高まります。ヘッドホンを使ってのバイノーラル・ビートは、”創造性を含む認知のある側面を高め、不安を軽減する可能性がある “という点でも効果的です。
- 作業環境:特定の種類の作業には、さまざまなスペースが最適です。「部屋、建物、屋内または屋外など、さまざまな場所を使って、特定の脳の状態と彼らが好む作業の種類にアクセスできるようにすることを検討しましょう」
アンドリューのポッドキャスト「ヒューバーマンラボ」には、脳の働きや、パフォーマンス、集中力、生産性の最適化に関する素晴らしいインサイトが盛りだくさんです。
UXPin-UXデザイナーのための究極の生産性向上のヒント
UXPinの高度なデザインおよびプロトタイピングツールにより、デザインチームは最終製品のような外観と感触を持つ忠実度の高いプロトタイプを作成することができます。
より良いプロトタイプは、ユーザビリティテストやステークホルダーからの有意義なフィードバックにつながり、高品質のデザインプロジェクトの成果物や市場投入までの時間の短縮につながります。
UXPinの高度なプロトタイピングで、製品開発のワークフローに革命を起こしませんか。プロトタイピングに再利用可能なコンポーネントを導入し、インタラクティブなHi-Fiデザインをこれまで以上に速く構築しましょう。それこそデザイナーとして実行できる最高の生産性のヒントです。UXPin Mergeについてもっと読む。