DesignOpsの仕組みと思考方法

How DesignOps Works

この記事は、電子書籍「DesignOps 101」の一部を再編集したもので、DesignOpsを始めるのに正しく焦点を当てることについて抜粋しています。この無料の電子書籍で、DesignOpsについてさらに詳しく学びましょう。

DesignOpsの仕組みについて覚えておきたいポイント

  1. DesignOpsには、構造、プロセス、分析の3つの領域に焦点が当てられている
  2. DesignOpsの思考はこの3つの領域を含み、そこから方法論が形成されている
  3. DesignOpsに参加するには、個人とチームレベルでの思考の転換が必要な可能性がある
  4. DesignOpsの思考には、共同作業、調和、優先順位の確定、出来栄えの測定が含まれる

チームの規模に関係なく、一人で仕事をするフリーランスのデザイナーであろうが、DesignOpsの思考は必要不可欠であり、長期的なプロセスと効率化を実現することで、より優れた、より一貫した仕事ができるようになります。

DesignOpsの思考

UX Collectiveのガス・コレイア氏は、DesignOpsの思考について次のように書いています: 「DesignOpsは、新しいデザイン部門というわけではなく、デザイン、製品、エンジニアリングの間のインターフェースを「どのように」管理するかということです。

また、DesignOpsは、時間をかけて使用中心主義で敏捷性のある文化を作り出すことでもあります。デザインを単なる途中経過としてではなく、引継ぎとフィードバックの連続的な儀式として捉えることです。」 DesignOpsの思考は、デザインプロジェクトのための同じ戦略と考え方を、自身の会社の構造と仕事の考え方に適用したものです。第1章では、Nielsen Norman GroupによるDesignOpsの定義を主要な3領域で見ていきました。

  1. どのようにみんなで働くか:より効率的な仕事のために、チームの編成や連携を行い、環境や集まりを人間らしくする。
  2. どのように仕事を成し遂げるか:プロセスの標準化や調和を図ることで、デザインインテリジェンスに対する理解が共有され、プロジェクトに優先順位がつく。
  3. どのようにインパクトのある仕事をするのか:説明責任を果たすための仕事の測定、デザインの価値について他者を教育するツールとしての一般化、デザイン思考とその他の関連する活動の使用を可能にする。

DesignOpsの思考は、この3つの領域を1つの方法論にまとめ、次のように簡略化しています: DesignOpsの思考で、私たちが協力してインパクトのある仕事が実現します。 この思考は、個人でも複数のデザイナーで構成されるチームでも同じです。

ファイルやフォルダーに共通の命名構造を使用する時は、個人レベルでDesignOpsの思考を適用し、何かを探さないといけない時に、どこを見ればいいのかが正確にわかります。 DesignOpsの思考では、チームレベルでのデザイン関連のタスクに対して、標準化されたツール、テンプレート、ワークフロー、プロセスや手順を使用し、各自が同じプロセスやプロトコルに従います。

AirbnbのDesignOpsの思考転換

Airbnbの初期段階では、プロダクトデザイン組織のデザイナー、プロダクトチーム、エンジニアが密に連携していました。彼らはお互い顔見知りであり、ほとんどの組織が同じフロアで働いていました。 プロダクトデザイン組織が大きくなるにつれ、新しいメンバーが新しいプロセス、ワークフロー、アイデアを持ち込んできました。

部門を超えたチーム構造により、デザイナーはこれ以上一緒に作業することができず、それに伴って情報へのアクセス、デザイン基準、連携、デザイン品質が深刻な問題となりました。 Airbnbには、「DesignOpsの思考」という、新しい思考が必要だったのです! Airbnbはまず、デザイン言語システムの標準化から始め、その過程でAirbnbのDesignOpsが生まれました。

次に、チームは以下のような質問への回答に取り掛かりました。

  • DesignOpsに含まれるべき分野の基準は何か
  • 全く新しい役割をどのように特定し、定義するか(例:デザインツール)
  • どうすればサイロ化せず、デザイン・エンジニアのパートナーの意見に耳を傾けることができるか
  • この新しいチームとどのように付き合い、意識を高め、インタラクションを確定するか
  • 新しいプロセスやツールの教育や採用は難しいので、早期で頻繁な実施が重要
  • 最も重要なのは、出来栄えをどのように評価するかということ

一つ覚えておいてほしいのは、DesignOpsは決して完璧ではなく、小さく始めて拡張していくことが重要ということです

AirbnbのDesignOpsディレクターであるエイドリアン・クリーブ氏が言うように、「もちろん、言うほど簡単ではないし、すべてが完璧に動いているわけではないが、小さな効率化が複合的に見え始める限り、正しい方向に進んでいることが分かる 」ということです。

自身の組織とワークフローについて考えてみてください。DesignOpsの思考の起点はすでにそこにありますか?ではさらにもう一歩踏み込んでみましょう。

共同作業

Nielsen Norman Groupのモデルでは、チームの連携がDesignOpsの思考の基礎となっています。これは、複数のチームで作業している企業にとっては何の変哲もない概念です。 その仕組みは次のとおりです:

  • チームが協力して、タスク、構造、役割をまとめます。つまり、名前、役割、職務内容などを記載した自社の組織図です。よくまとめられたチームでは、適切な機能とチーム構造が割り当てられ、各自それぞれの役割で確実にうまくいくようになります。
  • チームは自身のプロセス、文化的規範、コミュニティを作り、会議、職場環境、そして組織のガバナンスの不文律までもが、この連携を取り込んでいるのです。
  • チームは全体的なエクスペリエンスを「人ありき」にします。タスクや役割を割り当てるコンピュータやアルゴリズムとは異なり、DesignOpsのヒューマンエクスペリエンスでは、個人とチームの成長を促しながら、職場における人材の採用と確保に重点を置いています。この思考は、運営の重要な要素である「人」に焦点を当てています。

調和

Nielsen Norman Groupのモデルは、DesignOpsの仕組みの出発点ですが、思考の定義には調和が不可欠です。デザインチームの調和で成功の可能性が高まり、生産性の金字塔である効率性が高まります。

ここでは、正しいDesignOpsの思考で調和の取れた職場とはどのようなものかを紹介します。

  • 作業を容易にするプロセスやツールの標準化
  • デザインシステムの活用
  • 一貫性のあるアセットの管理
  • データ開発・収集のための研究拠点づくり
  • ワークフローとアセットアロケーションのバランスの確保

これらがすべて揃ったとき、仕事場とデザインの流れに調和と効率性がもたらされるのです。思い描いたり、概念化するのは簡単ですが、実践するのは難しいものです。そこで優先順位をつけるのですが、DesignOpsのワークスペースをサポートする最初の段階が特に重要なのです。

デザインの運営を始めるのに必要なものは全部DesignOps 101 ebookにあります。

優先順位

DesignOps戦略の優先順位を正しく設定することで、最大限の効果が生み出されます。効率的な管理は、ワークフローの円滑な稼動をもたらします。 自身の前回のデザインプロジェクトについて考えてみてください。

  • チームメンバー間のワークフローはバランスが取れていましたか?
  • 割り当てられた時間は、仕事を完了するのに十分でしたか?
  • 効果的に仕事をするための適切なツールやリソースがありましたか?

DesignOpsは、仕事を完了するために必要なものを適切なタイミングで持っているときにのみ効果を発揮するので、上の質問のどれか一つでも「いいえ」だったら、DesignOpsの思考の優先順位付けの価値を理解し始めたのではないでしょうか。 ロードマップにDesignOpsの思考を浸透させると、チームにとって標準的なプロセスになります。

チームの能力を測る

正確な測定基準やKPIがなければ、変化や目標達成は困難です。効率的なDesignOpsには、結果の測定やKPIでの目標設定と、さらなる発展の促進が必要なのです。

これらのKPIとマイルストーンは、デザインの品質と一貫性だけでなく、チームの能力と効率にも影響を与える可能性があります。

デザインチームの測定項目としては、以下のようなものが考えられます。

  • プロジェクトの完了を明確にする採点システムまたはチェックリスト
  • 規格やプロジェクトの目標を達成するためのデザイン品質の尺度
  • 道中のプロセスやシステムの使用
  • 成功事例をチーム内で共有
  • 新しいツールやシステムを学ぶ従業員のためのトレーニング時間
  • プロジェクトの開始から終了までのタイムライン

DesignOpsの思考の有効性は、こういった指標の追跡で測れます。 DesignOpsの環境で、より優れた一貫性のある仕事を生み出せていますか?それとも新しいシステムやプロセスを難しいと感じているのでしょうか?DesignOpsのルールを成文化する前に、思考でその文化を浸透させると、プロセスがより自然になります。

Co-op Deigitalの「DIET」

英国に拠点を置くCo-op DigitalののDIETDesign Impact Evaluation Tactic)で、デザインにおける重要な3つのステージを測れます:

  1. 戦略:最初にプロジェクトの話を聞いた時
  2. 問題:リサーチが完了した時
  3. 解決策:デザインとテストが完了した時

DesignOpsは、DIETでワークフローの問題を追跡して特定できます。複数のチームやプロジェクトがある場合、この採点システムにより、デザイナーに共通するペインポイントをピンポイントで特定し、DesignOpsに対策を講じさせることができます。

DIETは、DesignOpsがどのように思考の変更に影響を与え、問題に優先順位をつけ、その結果を測定するかを示すのに丁度いい例です。

デザイン思考プロセスのように、DIETは反復的です。DesignOpsは問題を特定し、必要な変更を加え、結果を測定し、このプロセスを繰り返します。

デザイナーは日々DesignOpsマネージャにフィードバックを行いながら思考やプロセスに触れているので、DIETでDesignOpsの思考を浸透させることができるのです。  DIETは透明性を高める素晴らしい方法論であり、チームやステークホルダーは、デザイン上の課題と、その課題を克服するためのDesignOpsの効果を可視化できます。

今後の展望

今こそ、DesignOpsの役割や機能があなたの会社や企業にどのように作用し利益をもたらすことができるかを考え始めるべき時です。DesignOpsを適切なツールやリソースと統合することで、非常に有益なものになります。

Airbnbで見たように、DesignOpsは一夜にして解決できるものでもなければ、決して完璧なものでもありません。小さく始めて、少しずつステップを踏んでいくことが重要なのです。

DesignOpsには、それが一人であろうと、チームであろうと、単に考え方の変化であろうと、計画、予算、プロセス管理が必要です。 もし、自身のデザイナーがすでにデザイン思考プロセスに従っているならば、あなたはすでに順調に進んでいます。

DesignOpsで、これらのプロセスを洗練させ、ワークフローを合理化しながら、コラボレーション、一貫性、デザイン品質、そして全体的なユーザーエクスペリエンスを向上させることができるのです。

UXPin MergeによるDesignOps思考を取り入れる

自身の企業のデザインシステムは、品質、一貫性、ユーザーエクスペリエンスの核となるものです。Airbnbで見られたように、DesignOpsの最初のプロジェクトは、デザイナーが全員同じ要素や構成要素で作業できるように、デザイン言語システムを標準化することでした。

UXPinのMergeテクノロジーで、企業がデザインシステムを標準化し、すべての部門とチームメンバーがまったく同じバージョンで作業できるようになり、さらに、各コンポーネントが最終製品の完全なレプリカとして機能します! MergeはUXPinのエディタと、自身の会社のデザインシステムを含むレポジトリを同期させます。

Gitレポジトリから直接Reactコンポーネントを同期したり、Vue、Angular、Web Components、Emberなど、他のテクノロジー用のStorybook統合を使用したりすることができます。 UXPin Merge は、組織における信頼できる唯一の情報源(Single source of truth)を作成します。UXPin Merge の詳細と、企業のユーザー エクスペリエンス設計を変えるこの革新的なテクノロジーへのアクセス方法についてご覧ください。

Still hungry for the design?

UXPin is a product design platform used by the best designers on the planet. Let your team easily design, collaborate, and present from low-fidelity wireframes to fully-interactive prototypes.

Start your free trial

These e-Books might interest you