コンテンツインベントリ って?【デザイナー向けガイド】
コンテンツインベントリ は、デジタル製品や Webサイト内のコンテンツ資産をすべて包括的かつ構造的に集めたものであり、コンテンツの位置、形式、メタデータ、主要な属性)など各コンテンツに関する詳細な情報をまとめた目録です。
コンテンツを一元的かつ整理して閲覧できることからUX(ユーザーエクスペリエンス)にとって不可欠な存在です。これによってデザイナーは、コンテンツの種類、内容、関連性を理解することができます。
コンテンツインベントリ があることで、UXデザイナーはコンテンツの範囲と構造を明確に理解することができ、ユーザー中心の体験を効果的に計画・創造が可能となります。
コンテンツインベントリ を管理することで、コンテンツが適切に構成、ラベル付け、アクセス可能かなどを確認し、ナビゲーション、見つけやすさ、そして全体的なユーザーの満足度を向上させることができます。コンテンツインベントリは、コンテンツ戦略、ガバナンス、最適化の取り組みの基礎となるツールであり、最終的にはシームレスで魅力的なユーザー体験につながります。
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コンテンツオーディット(Content Audit)とは
「コンテンツオーディット」とは、デジタル製品や Web サイト内の コンテンツインベントリ を体系的かつ徹底的に評価することであり、コンテンツのマーケティング戦略のように、コンテンツの品質、関連性、正確性、ユーザーニーズやビジネス目標に対する有効性を評価するための、コンテンツの見直しや分析などを指します。
また、UX デザイナーは、コンテンツオーディットによってコンテンツのギャップ、重複、矛盾、改善点を特定し、それによってコンテンツ戦略、構成、最適化について十分な情報を得た上で意思決定できるようになります。
コンテンツオーディットの責任者
コンテンツオーディットは複数のステークホルダーが関わる共同作業です。この任務を担うのは、コンテンツを効果的に評価・査定するための専門知識とノウハウを持つ、UXデザインチーム、特にコンテンツデザイナーやストラテジストであることが多いです。
コンテンツデザイナーの必要性
専任のコンテンツデザイナーは、コンテンツの管理と戦略において重要な役割を担っており、UX デザインチーム、コンテンツクリエイター、ステークホルダーと密接に連携して、コンテンツオーディットのプロセスの全権を握ります。
コンテンツデザイナーの業務内容は以下の通りです:
- コンテンツの収集および分析
- ギャップや冗長性の特定
- コンテンツ目録の整理
- 調査結果のドキュメント作成
コンテンツデザイナーはステークホルダーと連携して、コンテンツの改善を実施していきます。監査で出された推奨事項に基づいて、コンテンツがユーザーのニーズとビジネス目標に合致していることを確認します。
また、コンテンツデザイナーは、コンテンツ戦略の策定にも貢献し、それによってデジタルプラットフォームにおけるユーザー中心の高品質なコンテンツの作成と維持を先導します。コンテンツデザイナーの専門性によって、一貫したブランドメッセージ、トーン、スタイルが確立され、コンテンツがアクセシビリティ、SEO(検索エンジン最適化)、ユーザビリティの基準に適合していることが保証されるのです。
コンテンツオーディットの実施方法
既存コンテンツの収集
まず、コンテンツソースを特定し、包括的なインベントリのリストを作成することから始めます。このプロセスでは、Web ページ、ドキュメント、画像、ビデオ、ダウンロード可能なファイルなど、さまざまなソースからコンテンツ資産を全て集めます。
URLや場所、コンテンツの種類、メタデータ、その他の関連情報を含む構造化されたインベントリを作成して、コンテンツの完全な表現を保証しましょう。
ちなみに、NN Groupは、コンテンツインベントリや監査の管理にスプレッドシート(Google SheetsまたはExcel)の使用を推奨しています。スプレッドシートには必要な機能がすべて備わっており、デザインチームは追加のツールやサブスクリプションに投資することなく、組織全体から協働者を招待することができますからね。
コンテンツの分析
コンテンツインベトリの関連性と正確性を確認し、読みやすさ、トーン、言語、ブランドガイドラインとの整合性などを考慮して、品質と一貫性を評価します。
また、ユーザーニーズとビジネス目標を満たすためのコンテンツの有効性を評価し、それによってコンテンツの価値提供や重要なメッセージのサポート、全体的なUX戦略に合致していることを確認します。
カテゴリー別に整理
コンテンツをトピックやテーマに基づいて分類して論理的な構成を作り、さまざまなコンテンツ間の関係を反映したコンテンツの階層や構造を確立します。
この構成によって、ユーザーはコンテンツをより効果的にナビゲートでき、全体的なエクスペリエンスが高まります。また、コンテンツを整理する際には、ユーザーペルソナやユーザージャーニー、情報アーキテクチャの原則を考慮しましょう。
コンテンツのギャップと重複の評価
新規での作成や更新が必要な、欠落データや古くなったコンテンツを特定します。また、UXの効率化や、コンテンツの一貫性確保のために、冗長なコンテンツや重複するコンテンツは排除します。ギャップや冗長性を特定することで、コンテンツのエコシステムが最適化され、ユーザーが混乱やフラストレーションを感じることなく、必要な情報を確実に簡単に見つけられるようにすることができるのです。
コンテンツオーディットの結果と推奨事項のドキュメント化
コンテンツオーディットの結果を包括的に文書化した コンテンツインベントリ のレポートを作成します。ここでは、長所、短所、改善点を強調したコンテンツの分析を入れましょう。
結果に基づき、コンテンツの強化、再構築、削除に関する実行可能な推奨事項を概説します。推奨される変更を実施するための明確なガイドラインをコンテンツ制作者やステークホルダーに提供することで、コンテンツ管理と全体的なUXの向上に対するユーザー中心のアプローチが促進されます。
コンテンツオーディットを行うタイミング
UXチームがコンテンツオーディットを実施することを検討した方がいいのは、以下のような場合です:
- Webサイトの再デザインまたは移行:既存コンテンツの関連性、正確性、品質を評価するために、Web サイトの再デザインまたは移行前にコンテンツオーディットを実施する。この監査が、再デザインプロセスにおいて、どのコンテンツを維持、修正、削除すべきかの意思決定につながる。
- コンテンツ戦略の開発:コンテンツ戦略の策定時に、現在のコンテンツ状況の把握、ギャップや重複の特定、今後のコンテンツの計画および作成のためにコンテンツオーディットを実施する。
- UX の最適化:コンテンツを整理や構造化したり、簡単にアクセスできるようにすることによって UX を上げるべく、コンテンツオーディットを実施する。この最適化により、古くなったコンテンツの更新や、さまざまなデバイス向けのコンテンツの適合などの改善点を特定することができる。
- SEO とキーワード分析:検索エンジンのランキングにおける既存のコンテンツのパフォーマンスの評価や、キーワードの機会の特定、視認性の向上と SEO(検索エンジン最適化)に向けたコンテンツの最適化のためにコンテンツオーディットを利用する。
- コンプライアンスと法的要件:定期的なコンテンツオーディットにより、データプライバシー、アクセシビリティ、著作権などの法規制基準への準拠が保証され、UXチームは、潜在的なリスクを特定し、コンプライアンス違反のコンテンツに対処することができる。
コンテンツインベントリを成功させるためのベストプラクティスおよびヒント
ステークホルダーや専門家を巻き込む
コンテンツ制作者、デザイナー、デベロッパー、特定分野の専門家を含む様々なチームの人々と連携し、インサイトを集めてコンテンツの状況を包括的にカバーしましょう。
プロセス全体を通じてステークホルダーを関わらせることで、コンテンツの目標に対する理解の共有が促進され、より正確で綿密なインベントリが促進されます。
バージョンとドキュメントの管理
コンテンツインベトリの変更、更新、改訂を追跡する明確なシステムを確立し、それによって全員が確実に最新バージョンで作業できるようにしましょう。
また、将来参照するための包括的な記録を提供するためにコンテンツソース、メタデータ、関連するメモや観察などの重要な詳細をドキュメント化して、一貫性と正確性を維持しましょう。
拡張性と将来のコンテンツ更新の考慮
将来的なコンテンツの増加や変更を予測し、インベントリのフレームワークと構造が新しいコンテンツや調整に確実に対応できるようにしましょう。柔軟性のあるインベントリのデザインによって、コンテンツの進化に伴う追加、修正、拡張がしやすくなりますからね。
この積極的なアプローチにより、チームによる新しいコンテンツの追加や戦略の進化があっても、コンテンツインベトリは長期的に価値と効果を保つことができるのです。
コンテンツインベントリ の管理と監査のためのツールとリソース
コンテンツインベントリ の スプレッドシートテンプレート
コンテンツインベントリのテンプレートは、メタデータ、URL、ページタイトル、説明文など、各コンテンツに関する重要な情報を取得するための構造化されたフレームワークを提供します。
例えば Google Sheets、Microsoft Excel、Notion、Airtable などのツールには、コンテンツインベントリ用に特別に設計されたカスタマイズ可能なテンプレートがあり、このようなテンプレートでインベントリのプロセスが効率化され、それによってコンテンツデータの効率的な入力と分析が実現します。
ちなみにNNグループには、スプレッドシートの基礎として使用できる標準的なインベントリの属性リストが以下のようにあります:
- コンテンツの名前またはタイトル(ページタイトルではなく、実際の名前またはタイトル); それがない場合は、明確な名前をつけるか、その内容を要約する。
- URLまたはリンク
- 著者、所有者、またはソース(誰が書いたか、作成したか、誰が所有しているか、ユーザー作成か、どこかから提供されたものか、など)
- 主題または関連するトピック
- フォーマット(記事、動画、画像、Webパーツまたはコンポーネント、Webページタイプ、PDF)
- 作成日または最終更新日
- メタデータ(ページタイトル、メタディスクリプション、alt テキストなど)
- 内部的に生ファイルが存在する場所
コンテンツ分析とマッピングツール
Smartocto や Siteimprove のようなツールを使えば、コンテンツの階層、関係性、パフォーマンスのメトリクスの分析や視覚化ができます。
このようなツールは、コンテンツのギャップ、重複、最適化の機会を明らかにするためのデータ駆動型のインサイトを提供し、こういったツールを活用することで、コンテンツ戦略、情報アーキテクチャ、UX について、十分な情報に基づいた意思決定を行うことができます。
以下に、分析とマッピングのためのコンテンツインベントリのツールをいくつか挙げてみましょう:
- Smartocto (旧 Content Insight):詳細なコンテンツインベントリのレポート、サイトマッピング、コンテンツの品質分析を提供する。
- Siteimprove’s Content Mapping:コンテンツの階層を可視化および分析し、ギャップや重複を特定する。
- DYNO Mapper:サイトマップの作成、コンテンツオーディット、コンテンツの関連性の可視化を支援する。
連携およびプロジェクト管理ソフトウェア
連携とプロジェクト管理ソフトウェアは、効果的なチームワークや効率化されたコンテンツインベトリのワークフローを促進します。
チームの連携、タスクの割り当て、締め切りの設定、コンテンツオーディットの進捗をサポートするツールとしては、Trello、Asana、Notion、Jira などがあります。
UXPin Merge によるコンテンツのプロトタイプ
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また、UXPin Mergeのドラッグ&ドロップのワークフローで、デザイナーでなくても従来のデザインツールよりも高い忠実度とインタラクティブ性でプロトタイプを作成し、テストすることができます。
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