UX戦略 初心者ガイド – 効果的な戦略のためのヒント
明確に定義されたUX( ユーザー エクスペリエンス )戦略は、組織のミッションステートメントと同じくらい重要であり、UXチームが革新的なデジタル製品を構想・デザインする際の指針になってくれます。
本記事は、著名なデザイナーであり作家でもある Robert Hoekman Jr.(ロバート・ホークマンJr.)氏が執筆したeBook「The Field Guide to UX Strategy」を要約したものです。
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UX戦略 とは
UX 戦略 は、UX の目標を製品や組織に合わせた計画です。 組織が顧客にブランドと製品の相互作用をどのように体験してほしいかを確定するため、UX デザイナーは決定を下す際に常にビジネス戦略とそのユーザーを考慮します。
企業がUX戦略を策定する際には、以下の点を考慮する必要があります:
- ブランドとの関連で、組織がどのようにUXを定めているか
- UXデザインは製品戦略とどのように整合させるか
- UX とビジネス目的の整合性
- 行動、期待、ユーザーニーズなど、定性的および定量的データから得られる詳細なユーザーペルソナ
- 市場トレンドが UX に与える影響
- 競合他社の調査
- 将来の目標に対する現在の製品パフォーマンス
- 製品の目標、目的、KPI の確定、優先順位付け、および実行
- ユーザー 調査の手順
- 調査結果のステークホルダーへの報告
UX戦略 の重要性
デザイン思考プロセスでは、主に ユーザー に焦点を当てますが、それは当然のことです。しかし、UXデザイン戦略がなければ、デザイナーはブランドとその目標を忘れてしまいます。そこでUX戦略が、組織とエンドユーザーをデザイナーの焦点に合わせ、製品とブランドの体験を一致させます。
UX戦略は、リサーチ、デザインプロセス、ユーザビリティテストにおいて、組織とそのステークホルダーが確実に発言できるようにします。
UX戦略は、以下の5つを行うという点で必要不可欠なものになっています。
- UX ( ユーザー エクスペリエンス )と UXデザインの利点について、ステークホルダーに常に最新情報を提供する
- UXリサーチとデザインプロセスの概要を示す
- UXの成功度の測定法を確定する
- UXデザインの理解と重要性を組織全体に浸透させる
- ブランドの期待と UX を一致させる
UX戦略 はどこから始めるか
UX戦略の策定は、以下のようなデータの調査やステークホルダーへのインタビューなど、ディスカバリーのプロセスからスタートします:
- 一次ステークホルダー
- 二次ステークホルダー
- 現在の ユーザー
- ベータテスター(実地試験)
- SME (特定領域の専門家)
- 競合するデジタル製品の ユーザー
- 業界データ
一次ステークホルダー
「一次ステークホルダー」とは、その製品の担当者を指します。大抵のスタートアップ企業では CEO (最高経営責任者)と CTO (最高技術責任者)になりますが、より確立されたビジネスでは、関わっていかなければいけない経営幹部メンバーが複数いる場合があります。
一次ステークホルダーは大体、UX が成長、キャッシュフロー、事業価値、利益にどのような影響を与えるかを知りたいものです。
一次ステークホルダーへの質問の例:
- なぜ、この収益モデルを選択したのですか?
- UX に関する最大の懸念事項は何だとお考えですか、また、その理由は何ですか?
- うまくいっていると思う点はどこでしょうか?
- 競合製品と比較して、当製品はどうだと思いますか?
- どのメトリクスの改善を期待しますか?
プロからのヒント:一次ステークホルダーがそれぞれ何を最も重視しているかを調べ、ビジネスにおける彼らの役割に関連した質問をしましょう。これがわかれば、発見段階で有意義なフィードバックが得られます。
間接的関係者「二次ステークホルダー」
「二次ステークホルダー」とは、部門を管理し、組織の目標を実行する責任を負う人たちであり、最終的に UX に影響を与えるような企業の制約や課題を理解していることから、重要な存在になります。
二次ステークホルダーには、プロダクトマネージャー、マーケティングリード、リードリサーチャー、役員、その他製品のUX に影響を与えたり依存したりする部門のトップなどにあたります。
二次ステークホルダーにインタビューする際は、まず経営陣の期待や懸念事項を概説しましょう。そうすることで、ハイレベルな指令に沿った UX の改善方法を模索することができます。また、二次ステークホルダーのそれぞれの役割と責任、そしてそれがユーザーにどのような影響を与えるかにも注目する必要があります。
質問は、ステークホルダーの関心事に沿って行うようにしましょう。それ以外の質問は、誤解を招く情報や視点になる危険性が高いですからね。
現在のユーザー
製品がすでに存在している場合は、現在のユーザーにインタビューして、実際に使用している顧客の視点を得るといいでしょう。
このようなインタビューに対する報酬の提供は避けましょう;共有してくれるフィードバックや意見に影響を与える可能性があります。1回の電話やミーティングは20分以内とし、最小限のやりとりにとどめるようにしましょう。
ユーザーに連絡するときは、自分の役割と、製品の改善のためにリサーチしていることを説明しましょう。
現ユーザーにインタビューする際のポイント:
- 少なくとも3人のユーザーとのミーティングを設定する。5人目あたりになると、最初の4人が言ったことと同じようなことを聞くようになりますよ。
- 他のチームメンバーを招待する。例えば、あなたがフォローアップの質問に集中している間、別のデザイナーやリサーチャーがメモを取るのを手伝ってくれるでしょう。マーケティング担当者やデベロッパーにとっても、ユーザーの背景や行動を直接理解することができるというメリットがありますよね。
- どのように製品を見つけたのか、どのような機能を最も使っているのかを尋ねることで、信頼関係を築く。
- 気持ちや好みばかりを聞くのではなく、行動についても聞いてみる。例えば、「〜の時はどう感じますか?」ではなく、「〜の時はどうしますか?」と聞くとか。「何」や「どこ」などの自由形式の質問は、「はい」「いいえ」の二者択一の質問と比べて、より有意義なフィードバックが得られますよ。
- ガイドラインとして使う質問リストを用意しておく。ただ、ユーザーリサーチやユーザビリティテストのように、台本通りにカッチリ行こうとする必要はありません。考えもしなかったようなフィードバックが出たらそこを掘っていけるような余裕をもたせておきましょう。
- 製品について話し始めたら、フォローアップの質問をたくさんする。答えは単純ではありません。もし、苦情が始まったけど終着点がなさそうな場合は、それを追ってみましょう。何が原因なのかを探るのです。好奇心を刺激するものは何でもそうしてください。
ベータテスター
既存の製品の ユーザー と比べて、ベータテスターは新製品への投資度が低ことから、ベータテスターのインタビューは、UX戦略の発見において一番大変な部分になります。
ベータテスターは、バグや新製品の機能不足に不満があるかもしれません。なので、そのような問題を乗り越えて、製品が解決しようとする実際の苦労や問題を見つけないといけないのです。
共感しましょう。 ユーザー のこれまでの使用状況、問題点、失望点、製品への要望を聞きましょう。製品体験の向上が目的であり、それは彼らなしではできないことを強調するのです。
SME(Subject Matter Expert:その領域の専門家)
SME で、複雑な市場、製品、 ユーザー データにコンテクストを与えることができます。
SMEの例としては以下のようなものがあります:
- 経験豊富なビジュアルデザイナー
- プログラミングや技術的な専門家
- 行動心理学者
- ユーザー リサーチャー
- データサイエンティスト
- プロジェクトマネージャー
- 成功したスタートアップの創業者
- ビジネスコンサルタント
専門家へのインタビューには十分な準備をし、自社の製品、ユーザー、組織の目標に関連する質問だけをするようにしましょう。また、専門家が説明していることを明確に理解し、自社や自身が持っている物語や偏見を最もよくサポートする情報を選び出すことがないようにしましょう。
競合製品の ユーザー
自社の競争優位性や、それがUX戦略にどのような影響を与えるかの理解が重要であり、そのためには、 ユーザー の希望や、競合他社の製品についての感想を調査する必要があります。
競合他社のレビューを読めば、ユーザーのペインポイントが手っ取り早く見つかります。競合他社のレビューを見つけるための貴重なリソースは、以下の3つがあります:
ブラウザの拡張機能を持つ製品の場合、Google Chrome ウェブストアなどのブラウザストアもチェックしてみましょう。
自社製品との類似点を探し、よくあるクレームなどはメモしておきましょう。また、ポジティブなフィードバックをチェックして、顧客が何で喜ぶのかもみてみましょう。
業界データ
分析データと ユーザー からのフィードバックを比較することで、パターンや行動に関するコンテクストが得られます。
例えば、サインアップ時の離脱が多く、ユーザーが「サインアップフローの操作が大変だ」と言った場合、フィードバックとデータの間に明確な相関関係があると言えます。
KISSMetricsのようなイベント追跡ツールやMadKuduのような予測行動ツールで、どのようなユーザーのフィードバックが最も有意義であるかの判断ができるようになります。
UXPinでは、MadKuduを使って購入フローのユーザー行動をマッピングし、プロセスを最適化する方法を見つけ、障害を取り除いています。
UX戦略 策定のための6つのヒント
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ここでは、UX戦略策定の際に考慮すべきヒントを6つご紹介します。
1.ユーザー中心主義を貫く
UX戦略の目標設定の際は、常にユーザー重視の姿勢を崩さないこと。UX戦略は、『企業の目標をUXデザインに合わせること』がポイントであり、ユーザーを犠牲にしてビジネスを充実させる方法を見つけることではありません。
2.利益よりもユーザーを優先する
UX は常に透明であるべきです。ビジネスにおいて利益を上げるのは必須ですが、UX戦略がユーザーをさしおいて利益を優先することがないようにしましょう。例えば、サービスの解約や退会を阻止すべく、手続部分を見えにくい所に置いたり面倒くさくして、ユーザーが大変な思いをするようなことをしてはいけません。
3.企業の UXロードマップを確定する
ステークホルダーへのインタビューとユーザーへのインタビューを使って、UI (ユーザーインターフェース)デザインと UX に関する会社の長期的なロードマップを確定しましょう。
4.具体的かつ現実的な目標を立てる
UXデザイン戦略での発見を使って、以下に基づいた製品のデザインの希望を特定しましょう:
- ステークホルダーのフィードバック
- ユーザー調査
- 競合他社分析
UX戦略の目標は明確にし、大まかな目標や漠然とした目標は避けましょう。例えば「ユーザー登録数を増やす」ではなく、「ユーザー登録数を年間15%増やす」というように具体的な目標を設定し、このような目標は、直感ではなく、きちんと実際のデータに基づく現実的なものであるようにしましょう。
5.使用状況の確定
顧客が製品を使用する状況や環境(いつ、どこで、誰が、何を、どのような理由で)を明確にしましょう。エンドユーザーとその環境について、できるだけ詳しくどんどん説明しましょう。これでデザイナーは、ユーザーと共感しながら UX を考えることができるのです。
また、CX(顧客体験)は製品だけでなく、広告、メッセージ、ポリシー、ユーザー契約、カスタマーサポートなど、他のタッチポイントにも広がっていることを忘れずに考慮しましょう。
6.戦略の見直しと更新
かつて古代ギリシャの哲学者ヘラクレイトスは、 ” 変化だけが不変である ” と言いました。この言葉は、目まぐるしく変化するテック業界や UX業界にとって、これ以上ないほど真理をついています。
できる UX戦略家は、新しいテクノロジー、市場の変化、新しい法律など、計画を混乱させる力への適応をよく考えています。
UX戦略を毎年見直して、現状の把握や、長期的な目標達成に向けて順調に進んでいるかを確認しましょう。前年の実績に基づいて、目標の更新や、新たな目標の設定もできますからね。
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UX戦略 の強化に UXPin ができること
“UXPinの理念は、デザインとエンジニアリングを融合させ、より良い、より速い製品開発の世界を実現することで、最高のユーザー体験を提供することです。“
UXPin の忠実度の高いプロトタイプは、ステート、コードベースのインタラクション、条件付き書式、変数、データのキャプチャと検証、関数などを備え、最終製品の正確なレプリカを作成することができます。
忠実度が高いプロトタイプは、最終製品と同じユーザー体験を提供するため、ユーザビリティテストを効率的に行えます。また、エラーが少なくなるため、市場投入までの時間が短縮されます。
UXPinの高忠実度プロトタイプは、デザインのハンドオフを大幅に改善します。自動化されたデザインスペック、CSS、スタイルガイド、UXPin 内でのドキュメント作成機能により、エンジニアは各プロトタイプが何をすべきかを把握でき、それによって製品チーム、デザインチーム、デベロッパーの間でよく見られる、デザインハンドオフ時のやりとりを最小限に抑えることができます。
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