CX と UX – よく聞く2つの違いって何?把握してみよう!
Nielsen Norman Groupの創設者であり、元Appleの副社長であるドン・ノーマン氏は、90年代に『 UX (ユーザーエクスペリエンス)』という言葉を作りました。そしてその約20年後、ニュージーランドのサービスデザイン社のトニー・ヒルソン氏が『 CX(カスタマーエクスペリエンス)』という言葉を生み出しました。
多くの人がCXとUXを間違って使っていますが、両者はユーザーと顧客とのさまざまなインタラクションのレベルを表します。本記事ではCXとUXの違いや2つの交わる点、そしてチームがパフォーマンスの測定や最適化のために使うメトリクスについてご紹介します。
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UX (ユーザーエクスペリエンス)とは
UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、ユーザーのデジタル製品へのジャーニーやインタラクションを表す言葉であり、UXに影響を与える要素には、ユーザビリティ、情報アーキテクチャ、ナビゲーション、学習性、視覚的階層などがあります。
ここで重要なのは、ユーザーが必ずしも「顧客」とは限らないということです。例えば、ウェブサイトのトラフィックは「ユーザー」であり、それには「顧客」と「訪問者」が含まれます。多くのデジタル製品は、ユーザーに対して無料プランが提供され、そこから有料顧客への転換を期待しており、UXを最適化することで、ポジティブな顧客体験を生み出すと同時に、見込み客のコンバージョンの可能性を高めることができるのです。
CX (カスタマーエクスペリエンス)とは
CX(カスタマーエクスペリエンス)とは、製品のUXを含む、複数のタッチポイントにおける『顧客』と『ブランド』との総合的な関係を表します。CXには、製品やUXだけでなく、次のようなものが含まれます:
- バイヤージャーニー – 商品やサービスの対価を支払うプロセス
- 価格設定の公平性
- マーケティングのコミュニケーション
- ブランドの評判 – 人はあなたの製品を凄いと思って使っているか
- カスタマーサービスとのやり取り
- 販売プロセス – 購入、アップセル、リテンション
- SNSへとの関わり具合
- 店舗での体験(小売および物理的な製品の場合)
- 商品の配送 – 配送や梱包などの物理的なものと、デジタルなもの
このようなタッチポイントの多くには、組織が管理および最適化しなければならないUXがあります。
CX と UX の違い – 重視する部分と担当分野
重視する部分
このシンプルな図は、UXとCXの違いを表しています。見ての通り、CXはUXの中にありますね。CXはハイレベルな取り組みであるのに対し、UXはWebサイト、アプリケーション、デバイスなどのデジタルでのタッチポイントに焦点を当てます。
Teslaは、このようなさまざまな注力分野を実証するのに最適な企業です。ここの CX は、次のようなものであると思われます:
- 車の購入(営業マンとのやり取りを含む
- 納車
- カスタマーサービスとのやり取り
- 車の充電
- 整備
- 運転体験
- Teslaのイベントに参加する
- 車両の整備と更新
このようなタッチポイントの中に、以下のような複数の UX が存在します:
- Teslaのウェブサイトを利用して車両を購入する場合
- あらゆるTeslaのネイティブアプリケーションまたはWebアプリケーション
- 車のデジタルのCar(車)UI(ユーザーインターフェース)の使用
このように、 CXの多くは、TeslaのUXとは全くまたはほとんど関係がないのです。
担当する分野
CXとUXは、以下のように所有と責任の所在がそれぞれ異なります:
- UX:製品開発チーム(プロダクトマネージャー、エンジニア、UXデザイナー)
- CX:マーケティング、カスタマーサービスチーム
この担当分野は一般化されたものであり、組織によって異なる場合がありますが、担当分野における主な区分は次のとおりです:
- UX:技術やデジタルUIを担当者する人たち
- CX:顧客と直接的・間接的にコミュニケーションをとる人たち
CX とUXの類似点
人間中心としたアプローチ
CX とUX は、ユーザーや顧客とそのジャーニーを理解するのに、人間中心のリサーチとペルソナを用いますが、このデータの収集には、各チームが同様の方法を以下のように用いています:
- 製品やWebサイトの分析
- インタビュー
- アンケート
- カスタマーサポートチケット
- ユーザープロファイル/アカウントデータ
また、UXデザイナーは、ユーザビリティテストを通じてデータを集め、他のチームと共有することもあります。
リテンション
CX とUXは、ユーザーを惹きつけ、維持し、持続的なビジネス価値を作り出すことを目的としており、チームは、以下のように問題を解決してポジティブな体験を作ることによって、それを実現します:
- ある顧客が、ブランドのウェブサイトから商品を購入します。商品選択から会計までのユーザーフローがスムーズに行われ、それによってポジティブなユーザー体験(UX)が生まれます。つまり、リピーターとなる可能性が高いということです。
- 顧客は購入してから48時間以内に小包を受け取りますが、サイズが違いました。でも同社は返品用の梱包材を同梱していたため、その顧客は同梱の袋に入れて、ブランドのウェブサイト(ユーザー体験(UX))を使って返品回収の予約をするだけです。
- 宅配便が荷物を受け取ると同時に、会社は顧客のアカウントにクレジットとして一旦返金し、それで顧客は(他に何も支払うことなく)正しいサイズを購入することができます。このようなポジティブな顧客体験(CX)は、ブランドがこの顧客を維持する可能性を高めます。
ペルソナとジャーニーマップ
UXとCXは、オーディエンスと彼らがどのようにタスクを完了するかを理解するのに、ペルソナとジャーニーマップを使います。その構造や焦点は異なるかもしれませんが、ツールや方法は似ています。
UX と CX のパフォーマンスのメトリクスを理解する
ここでは、UXとCXのメトリクスの例と、マーケティングチームと製品チームがそれをどのように使うのかをご紹介します。
CLV(顧客生涯価値)
CLV(顧客生涯価値)とは、顧客一人との取引期間中に、企業が期待する平均的な収益のことであり、CXの専門家は、このメトリクスを用いて予算やマーケティングの意思決定を行います。
CLVはユーザー行動の理解や共感の構築に直接関係しないことから、UXチームは通常、CLVを使いません。UXデザイナーにとってUXメトリクスは、ユーザーがどのように考え、感じるかについてのインサイトを提供するときに、より価値があるのです。
NPS(ネットプロモータースコア)
NPS(ネットプロモータースコア)は、大抵のマーケティングマネージャー/CMOが注意深くモニタリングしている重要なメトリクスでであり、顧客満足度と、ブランドが推薦される可能性を示しています。
組織は、デジタル製品や実際の体験においてNPSテストを利用しています。例えば、空港のトイレや小売店などで、『あなたの体験を評価してください』という物理的なNPSシステムをよく見かけますが、これは【幸せ】【満足】【悪い】を表す3つの顔で表現されています。
また、UXデザイナーは、デジタル製品のNPSスコアを利用して問題を特定します。例えば、特定の機能が繰り返し低評価になる場合、UXチームは問題特定に向けて調査をすることができます。
チャーン率
チャーン率は一定期間内に顧客との取引を停止する割合をパーセントで表したものであることから、これもCXの重要なメトリクスのひとつです。
UXチームは通常、技術的な問題や劣悪なユーザー体験が原因で顧客が企業を離れる場合にのみ、チャーン率を確認します。
エラー率
エラー率は、UXの低下に繋がるような、ユーザーがつまずいたりタスクを完了できなかった箇所をデザイナーに伝えるため、重要なUXメトリクスとなります。
CXの専門家は、必ずしもエラー率に従うわけではありませんが、このメトリクスはチャーン率やNPSに直接影響を与えるため、マーケティングチームとUXチームは協力して速やかに解決策を見出さないといけません!
成功率
成功率(完成率)は、特定のタスクを何人が完了させたかを確定するものであり、特に新しいリリースの後、UXデザイナーにとっての指標となります。成功率が上がればデザインは成功し、下がれば問題があることになります。
CXの専門家は通常、成功率を追うことはありませんが、エラー率と同様、成功率は他のCXメトリクスに影響を与える可能性があります。
コンバージョン率
コンバージョン率は、トラフィックや無課金ユーザーが有料顧客に転換する割合を示す、もう一つの重要なCXメトリクスです。例えば、100人がウェブサイトを訪問して10人が製品を購入した場合、コンバージョン率は10%となります。
UXチームは、デザインや新リリースに対するコンバージョンも、うまくいったメトリクスとして使います。例えば、デザインチームがeコマースのチェックアウトに関する問題を修正した場合、コンバージョン率から、新しいリリースによってコンバージョンが改善されたかどうかを知ることができます。
UXがCXを上げる方法
UXは、CX全体に最も強い影響を与えるものの1つです。ブランドのアプリやウェブサイトなどのデジタル接点で、顧客がタスクを完了できなかったり、問題を解決できなかったりすると、それがネガティブな顧客体験となり、最終的にはチャーン率の上昇、コンバージョン数の減少、CLVの低下を招きます。
顧客によるフィードバックの簡易化
カスタマーサービスへの連絡やヘルプに顧客がたどり着きやすいようにします。Webサイトのフッターにお問い合わせリンクを追加し、デスクトップおよびモバイルアプリにヘルプ画面を表示しましょう。
シームレスなクロスプラットフォーム体験のデザイン
ユーザーが複数のデバイスやOS(オペレーティングシステム)で同じ機能を実行できなければいけません。あるブランドのモバイルアプリでタスクを完了させたいと思ったとき、Webアプリケーションからでないとできないことに気づいたことはありませんか?
この制限により、ユーザーのイライラが募り、UXやCXが低下するなどの悪影響が出る可能性があるのです。
パフォーマンスの最適化
読み込みに時間がかかると、ユーザーはイライラを募らせます。画面の読み込みやアクションの完了を常に待たなければならないとなると、ユーザーの製品やWebサイトに対する信頼はなくなり、他にもっといい代替手段を探すでしょう。UXデザイナーは、エンジニアリングチームと協力して、製品のパフォーマンスを上げ、タスクを完了する際の摩擦を減らすための解決策を見つけないといけません。
部門を超えた連携
デザインの裏側では、他の部門と協力してCXを上げるための情報を共有する方法を探しましょう。例えば、UXとCXの専門家がデータを共有することで、お互いのペルソナやジャーニーマップを充実させるといいでしょう。
デザイナーは、 CXのインサイトをより多く得てデザインプロジェクトを改善するのに、マーケティングチームのメンバーをデザインスプリントに参加させるのもいいですね。
デザイン提唱
デザイン提唱とは、デザイン思考とUXについて組織を教育するための戦略です。また、デザインプロジェクトがCXのメトリクスを上げたことを示すように、デザイン提唱は部門の成功も促します。
デザイン提唱は、部門の価値を高め、より良いツールやシステムのためのリソースを確保しやすくし、最終的にはUXとCXを上げるために不可欠なものなのです。
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