デザインROI – デザイン投資の 価値 を算出する方法
UXデザインは、その主観的な性質から、数値化して測定するのは簡単ではありません。また、UXはビジネスの他の領域、つまり営業、マーケティング、サポート、エンジニアリングにも間接的に影響を及ぼしますが、UXデザインが組織内で成功するには、デザインリーダーシップがデザイン投資の 価値 を実証しないといけません。
Forrester の2016年のレポートである「The Six Steps For Justifying Better UX(より良いUXを正当化するための6つのステップ)」では、”…平均して、UXに費やす1ドルに対して、100倍のリターンがあります!”と発表しています。なのでデザインリーダーには、そのROI (投資収益率)を特定・測定する方法が必要なのです。
また、Forrester のレポートでは、企業が優れたデザインシステムに基づくUXを使用した場合、そのウェブサイトが以下のように優れていることがわかりました:
- 消費者のコンバージョンが400%アップ
- 顧客の商品推奨意欲が16.6%アップ
- 顧客の金銭消費意欲が14.44%アップ
「コンバージョン400%アップ」が気になりますか?
そのはずです!そして、実際に筋が通っているのです。UXデザインとは、ユーザーを理解し、そのニーズを満たすことですからね。UX 部門がユーザーにとっての 価値 を最大化すれば、それがコンバージョンや利益の向上につながるのはわかりますよね。
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デザインの ROI とは
ビジネスにおいて ROI とは、通常「%」で表示される業績評価です。投資に対する直接的なリターンを計算することから、ROI(Return On Investment:投資におけるリターン)の頭文字をとっています。
ROIは次のように算出します:
ROI=([投資による利益]-[投資コスト])÷ 投資コスト
デザインの ROI も同様に測定しますが、標準的な測定よりも少し複雑です。
以下のように財務的に分離する必要があります:
- UXから得られるもの
- 新機能の開発など、その他すべての労力から得られる利益
こういった利益を算出する際の課題の1つは、ステークホルダーがこの計算を「偏ったもの」や「最も有利な結果を選んでいる」と受け取ったりする可能性があるということです。そこで本記事の後半で、それを克服すべくデザイン ROI の適切な計算法をご紹介します。
デザインの ROI の例
以下は、デザインの ROI の例です:
- 売上/コンバージョンの増加
- テクニカルサポートコールの減少
- 顧客ロイヤルティ
- 顧客満足度
- 顧客囲維持
- 市場投入への時間の短縮(デザイン・開発への影響について)
- 手直しやミスの低減
- 社員の定着率
- 人件費削減
KPI の選択
ROI について語るとき、KPI(key performance indicators:重要業績評価指標)という文字もよく目にします。KPI もパフォーマンス測定ですが、望ましいゴールへの進捗を追跡するベンチマークやマイルストーンにも関連しています。
KPIの例としては、以下のようなものがあります:
- 利益
- コスト
- 時間
- CLU(Customer Lifetime Value:顧客生涯価値)
- ETR(Employee-Turnover Rate:従業員離職率)
- 従業員の生産性
デザインプロジェクトの ROI の算出法
デザインの ROI の算出は、測ろうとしているものによって違ってきますが、Athena Health のプリンシパル・デザイン・リサーチャーであるアーロン・パワーズ氏が、情報満載のウェビナーで、財務モデルによるUX ROI の算出方法を実演しています。
また、彼は、デザイン算出 の ROI が、以下のようなさまざまな分野からどのように引き出されるかを示しています:
- ファイナンス: 複雑な数式を含む教科書的な金融モデリング
- 意思決定モデル: 意思決定のシミュレーションとガイダンスのための教科書的モデル
- マーケティング分析: ユーザーの行動をビジネスの成果につなげるという点で、多くの類似した目標がある
- 機械学習(ML):回帰モデリングは、余計なものを取り除いてユーザー行動とビジネス成果の間のモデルを効果的に構築することができる。
これらは単純な計算ではないので、財務モデリングについては、以下の目的でオンライン UX ROI 計算機を提供するウェブサイトであるHuman Factorを利用するといいでしょう:
- 生産性の向上
- ヘルプデスクへの依存度を低減
- コンバージョン率の向上
- 正規のトレーニングにかかるコストの削減
- 脱落率の低下
- 学習曲線の短縮
また、ランドルフ・バイアス氏とデボラ・メイヒュー氏による「Cost-Justifying Usability(コストに見合ったユーザビリティ)」という本も非常にお勧めです。この本では、どれくらいの投資額を出資すべきかの計算やユーザビリティを他者に売り込む方法に注目しています。
デザインのビジネス 価値 を高める3つの方法
デザインの ROI を特定および測定するためのアイデアを得たところで、組織全体で UX の 価値 を上げる方法を3つご紹介します。
1.デザインシステムの導入
デザインのビジネス価値を高める方法の一つとして、顧客や組織に貢献するデザインシステムの構築が挙げられます。
デザインシステムの構築には時間がかかり、かなりのリソースの投入が必要です。なのでその 価値 を証明しないといけないのですが、その算出には、潜在的な ROI の提示や、デザインシステムの成功を追跡するためのステークホルダーのための KPI の提示などが含まれます(全部上に概要があります)。
ここでは、組織にとってのデザインシステムの利点を提示する方法をご紹介します。
包括的なデザインシステムというのは、デザインチームがプロジェクトをいちいちゼロから始めなくていいということです。デザインシステムから必要なものを取り出し、以下にある承認されたものを使ってプロトタイプを作り始めることができますからね:
- カラースキーム
- アイコン
- UIパターンおよびコンポーネント
- デザインシステムのドキュメント
- 画像、映像、ロゴなどのアセット
- インタラクション
デザインシステムを導入することで、ビジネスは以下のメリットが得られます:
- 新製品や新機能の市場投入までの時間短縮
- デザイナーが同じビルディングブロックを使用することによる、ミスの減少
- より簡単なオンボーディング
- チームや部門間での連携強化
- 一貫性の向上による、より良いCX(カスタマーエクスペリエンス)の実現
デザインシステムの 価値 を測るKPI
デザインシステムの 価値 の測定は、デザイナーやステークホルダーからの賛同を得るために非常に重要です。そこで、デザインシステムのパフォーマンスを長期的に追跡するために、測定したい重要な KPI が3つあります:
- チーム効率 – 組織のデザインシステムを使用して、チームが新製品を作るのにかかる時間
- 市場投入までのスピード– チームがプロトタイプを作り、テストするのにかかる時間
- コードへの影響 – リリースごとにデベロッパーがどの程度コードを変更したか
まず、デザインシステムなしでこのようなメトリクスを測ってベースラインを取得し、次にデザインシステムありでその影響を計算する必要があります。
2.DesignOpsでビジネス 価値 を作る
DesignOps は、デザインワークフローの最適化や、非効率な作業を減らす方法の検索を主な目的としています。つまり、デザイン部門のビジネス 価値 を高めるためのもう一つの方法ということです。
DesignOps のもう一つの機能は、他部門と連携してパートナーシップを構築し、ビジネス全体におけるデザインの影響力を最大化することであり、他部門から定量的なデータを見つけ出し、DesignOps の効率化にまで遡及することを目標としています。
つまり、DesignOps は効率や 価値 を生み出すだけでなく、デザインの内外での事例を積極的に探しているのです。
ちなみに、UXPin が主催する有益なウェビナーでは、Babylon社 のアソシエイト・デザイン・オペレーション・ディレクターであるパトリツィア・ベルティーニ氏が、デザイン、ビジネス 価値 、組織に対する DesignOps の影響を測るフレームワークを提供してます。
3.適切なプロトタイピングツールを使う
デザインの効率化を図るのは、コストの削減や、より高い ROI 獲得のための最良の方法であり、正しい UX ツールを使うことで実現されます。例えば PayPal は、UXPin Merge に切り替えることで、デザインおよび開発プロセスに革命を起こし、プロセスにおける大幅な効率化と 価値 を作り出しました。
PayPal の課題は、デザイン部門の規模の拡大や、新しいデザイナーの雇用なしでの UXの拡張でしたが、PayPal のUX – デベロッパーツールやプラットフォームのエクスペリエンス担当のシニアマネージャーであるエリカ・ライダー氏は、「デザインの効果的な拡張には、デザインプロセスにデベロッパーやプロダクトマネージャーを含める必要がありました」と述べています。
UXPin Merge に切り替えることで、PayPalは、従来のベクターベースのデザインツールを使う経験豊富なUXデザイナーよりも8倍速く新製品や新機能を構築できるよう、製品チームを強化しました。
Merge はPayPal が以下に取り組むお手伝いをしました:
- デザインと開発の間の「信頼できる唯一の情報源(Singel source of truth)」の作成。
- 市場投入までの時間の大幅な短縮
- エラーの削減
- 製品の品質向上
- 一貫性と全体的なUX(ユーザーエクスペリエンス)の向上
- 非デザイナーが新製品のデザイン、プロトタイプ、テストに参加できるようにする。
- UX、プロダクトチーム、開発間の連携の向上
- UXデザイナーが、グローバルに影響を与える大規模なUXイニシアチブを通じて、価値の創造に集中できるようにする。
この 価値 を生み出すための UXPin Merge の仕組み
Merge によって、組織のデザインシステムをホストするレポジトリに UXPin のデザインエディタを同期させることができます。UXPin はコードベースのデザインツールであるため、これらのデザインシステムのコンポーネントには、レポジトリ内のものと同じ機能と忠実度が備わっています。
デザイナーは、このようなコードコンポーネントを使って、ユーザビリティテスト参加者やステークホルダーが最終製品同様に操作できる、完全に機能する高忠実度のプロトタイプを構築できます。
デザイナー、製品チーム、デベロッパーはみんなレポジトリ(Git または Storybook との統合による)にホストされた単一のデザインシステムを使い、レポジトリに変更があると、自動的に UXPin のエディタにシンクバックされてチームメンバーに更新が通知されるため、「信頼できる唯一の情報源(Single source of truth)」ができます。
- 単一のコードベースのデザインシステムを使うことで、デザイナーはコンポーネントをドラッグ&ドロップして、完全に機能するプロトタイプをテスト用にサッと構築することができます。
- ユーザビリティの参加者は、最終製品と同じようにプロトタイプを操作することができ、それによってより質の高いテストと有意義なフィードバックが得られます。
- デザインハンドオフでは、エンジニアがレポジトリからコンポーネントをコピー&ペーストし、JSX/CSSをわずかに変更することで、新しい製品や機能を構築することができます。
- QA(品質保証)では、プロトタイプと最終製品が同じ忠実度と機能であるため、エラーが少なくなり、つまり手直しや人件費、ユーザビリティの問題やサポートチケットが少なくなるということになります。
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