デザインとコンサルティング – 社内コンサルティングのメリットとは
デザインコンサルタントは以前から存在しており、企業が外部のサービス会社や代理店にデザインコンサルティングを依頼することは昔からありました。
しかし、デザイン変更管理が進化し、現代のデザイン思考がデザインチームと他部門との統合方法を変えるにつれ、このようなデザイン業界の役割は、さまざまな刺激的な可能性と利益をもたらしてくれるようになりました。
本記事では、社内デザインコンサルタントが業界で果たす役割が大きくなっていることにスポットを当て、デザイン品質やデザインチームのパフォーマンスにどのようなプラスの影響を与えているのかお話します。
ここでは、社内デザインコンサルタントがこれらのチームとどのように融合し、デザイン品質にどのようなメリットをもたらしているかを探るとともに、効果的な社内デザインコンサルティングを立ち上げるためのステップについてみていきましょう。
デザインコンサルティングの立ち上げと運営に必要な時間を獲得する方法は、現在のワークフローの改善であり、そのうちひとつが、プロトタイピングとデザインのハンドオフプロセスをスピードアップする技術を試してみることです。それにはまさにUXPin Mergeがピッタリです。企業がフロントエンドの負債と戦い、自身のデザインシステムに基づいた製品を開発するのをUXPinがどのようにサポートするか、詳しくはこちらをご覧ください。
社内デザインコンサルタントとは
まずは、デザインコンサルタントのコンセプトと、コンサルタントがどのように組織内の問題解決者として機能し、実行可能なデジタルデザインソリューションを特定・実行するのかについてみていきましょう。
社内デザインコンサルタントとは、デザイン会社の中で、アイデアの提案、推奨や監査の実行、既存のデザインシステムへの助言を行う機能であると言えます。
デジタル製品のデザインの形状や機能性から、美観や市場性まで、社内デザインコンサルタントは、これらの特徴や要素が互いにどのように融合しているかを把握しています。
このようなコンサルタントは、デザインチームの中での重要な役割をいくつか担い、以下を行うことによってその専門知識を提供し、付加価値を高めています:
- デザインチームのメンバーが検討し、最善の決断ができるようサポート
- 潜在的な解決策や代替案について、常にチームに情報を提供し、最新情報を入手
- デザインフレームワークを使って業務プロセスやタスクの効率化をサポート
効果的なデザイン戦略の策定により、チーム全体のパフォーマンスとアウトプットをモニタリングし、改善します。 さらにデザインコンサルタントは以下を日常業務としています:
- デザインワークショップの企画・運営
- 組織的なデザインシステム構築の監修
- デザインのアイデア出しや実行に必要な経験や意見の追加
社内デザインコンサルタントと社外デザインコンサルタント
社内デザインコンサルタントは社外デザインコンサルタントとほぼ同じですが、デザイン会社の業務やチームダイナミクスにおいて遥かにいい見解があります。そして社内デザインコンサルタントと社外デザインコンサルタントの違いは、クライアント企業との関係にあります。
- 社内デザインコンサルタント:クライアント企業にフルタイムまたは契約ベースで雇用され、クライアント企業に直接報告する。雇用主のために継続的に働き、組織内の製品デザインに特化し、企業の経営陣やデザインチームと長期的な関係を築く。
- 社外デザインコンサルタント :デザインコンサルティング会社から来て、指定されたデザイン関連のプロジェクトやタスクの完了のために短期間雇われる。大抵は社外のコンサルティングやデザインサービスに雇われ、複数の組織のプロジェクトに同時に取り組み、自身の経験やより広いビジネス視点に基づいたアイデアをもたらす。ちなみに、Ideoがイノベーションのコンサルティング会社として有名なのは聞いたことがあるかもしれないが、この会社はパロアルトに拠点を置き、多くのスタートアップ企業のデザインへの取り組みをサポートした。
つまり、社内デザインコンサルタントは自社専属で、通常、長期的なプロジェクトに参加します。一方、社外デザインコンサルタントは、代理店から派遣され、短期間の仕事でサポートします。
社内デザインコンサルタントの利点
1. 一貫性と明瞭性の確保
外部のコンサルタントを入れるたびに製品デザインチームのワークフローが混乱するのではなく、製品デザイン活動の中で社内デザインコンサルタントが機能するように投資することは、誰にでも一貫性と明瞭性があるということです。
これには、共感、定義、アイデア出し、プロトタイピング、テストを柱とするデザイン思考プロセスをチームに導入することが含まれ、また、社内デザインコンサルタントは、デザインにおける変更管理を効果的に行うことができます。
社内デザインコンサルタントは、この非常に重要だけど時間のかかるプロセスを監督・管理するのに適任です。チーム全体の一貫性と明瞭性を確保するために取り組みを整理・効率化することで、デザインにおける変更管理を組織全体に浸透させることができるのです。
2. 知的資本と問題解決能力の向上
デザイン会社は、製品デザインチーム内に社内コンサルティンググループを設けることで、コスト削減、より良いデザインサービスの人材獲得、製品開発の加速、戦略的デザインソリューションやブランド戦略などを進めることができます。それにより社内コンサルティングを通じてのみ得られる知的資本の成長と維持が促され、社員が会社そのものをよりよく理解できるようになります。
社内デザインコンサルタントは、第一線で活躍する社員として、社内のデザインアーキテクチャに関する豊富な経験と知識を積み重ねており、このような深いインサイトで、他の社員が社内デザインコンサルタントと交流する際や、ライン管理のポジションに移行する際に、問題解決能力が上がります。
3. 組織全体でのデザイン推進
大抵のデザインチームにとって、デザイン思考の組織全体への普及は難点です。社内にデザインコンサルタントを置くということは、チーム内にデザイン支持者を置くということでもあるのです。
社内デザインコンサルタントは、デザイン思考を実践し、 戦略的なデザインに必要な視認性と注目度を常に保証します。また、デザイン大使として、他のビジネスステークホルダーが製品デザインやデジタル製品のユーザビリティの重要性を理解できるようサポートします。
4. デザイン部門と他部門のコミュニケーションの橋渡し
多くのデザイン関係者は、組織内のサイロ解消がいかに難しいかを指摘しており、デザイン変更管理には、デザインチームメンバー間だけでなく、他部門との間でも明確で曖昧さのないコミュニケーションが必要になります。
デザイン変更管理とデザイン思考を常に提唱している社内デザインコンサルタントは、そのシステムでいかに仕事が楽になるかを、他の部署や担当者が理解するのに長けています。彼らは、システムの複雑性を説明することに長けており、例えば、ソフトウェアデベロッパーにシステムの機能やブランディング戦略における役割を伝えることで、デベロッパーとデザインチームとの連携をより円滑にすることができるのです。
ただ、このような最新のプロセスには、円滑なコミュニケーションだけでなく、適切なツールも必要です。UXPin Mergeのような技術スタックは、デザインチームがUI、UXデザイナーとデベロッパー間の穴埋めをするのに、彼らを信頼できる唯一の情報源(Single source of truth)に合わせることで、より密接した作業環境や、孤立した邪魔なサイロの軽減に繋がるのです。
このようなツールがどのように役立つかを示す素晴らしい例として、影響力のあるデザイン運営の第一人者、デイブ・マルーフ氏によるものがあります。彼はウェビナーで、社内コンサルタントはこのようなソフトウェアで、信頼できる唯一の情報源(Single source of truth)を活かし、デザインチームと部門間の溝を埋めることによって、組織におけるサイロを解消できると述べています。
社内デザインコンサルタントを配置するには
では、デザイン運営に社内デザインコンサルタントを加えることを検討されているのですね。いいですね!ただし、始める前に計画が必要であり、社内デザインコンサルタントを始める前に、デザイン思考の哲学を採用し、伝えることから始まるのです。
ステップ1:コミュニケーション
デザイン業界では、社内デザインコンサルタントがまだ普及しておらず、外部デザインコンサルタントへのデザインシステムのレビューやアップデートの依頼に慣れているか、コンサルタント業務を自ら行うことをすでに習得している場合が多いようです。
社内デザインコンサルタントを置く目的は、チームのパフォーマンス向上であることを覚えておきましょう。なので事前に必ずコミュニケーションをとり、チームと連携しましょう。なぜ社内コンサルタントを配置するのか、専任のコンサルタントを配置することでどのようにデザインの負担が軽減され、問題解決に役立ち、デザイン思考の一貫性を確保できるのかを確実に理解してもらいましょう。
ステップ2: 目的の明確化
目標がなければ、コンサルタントもチームも、自分たちが目指す成果物がわからず、闇雲に作業することになります。よって次のステップでは、早い段階から社内デザインコンサルタントの目標を明確に定めます。
そのようなコンサルタントの目的には、以下のようなものがあります:
- マーケティングチームが新規ビジネスを呼び込むためのメールフローを見直し、CX(カスタマーエクスペリエンス)を上げるのをサポート
- カスタマーサクセスチームによるアカウント解約プロセスのUX(ユーザーエクスペリエンス)向上へのアシスト
- デザインチームとデベロッパーの連携と連絡を促し、信頼できる唯一の情報源(Single source of truth)を中心としたデザインの仕組みの導入
- 見込み客のコンバージョンプロセスをより効率的にデザインするための営業部門との連携
- 企業のブランディングチームと連携し、企業の最新情報についてのより魅力的なメディアリリースの予定や、製品の優れたデザインを紹介するためのSNS戦略の見直しをサポート
ステップ3: コンサルティングを始める
次に、作業を始めましょう。デザインチームと連携し、社内デザインコンサルタントの目的を明確に定めて伝え、コンサルタントを見つけたら、その任務の遂行を開始します。
他部門と関わりを持ちましょう。協議、観察、テストを実行し、チームとのブレインストーミング、プロセスの監査と更新、フィードバックの獲得、目標に到達したかどうかの報告をしましょう。
ステップ4:測定と学習
作業を実行に移す時間ができたら、結果を測定して分析し、作業の微調整が必要になります。チームからフィードバックを求め、データを分析し、改善すべき点があればそこを指摘します。間違いが見つかったら、それを教訓にして、デザイン戦略を修正しましょう。
完成したら、測定した結果と最初に設定した目標との比較が必要です。目標に到達していれば、引き続きコンサルティングを行い、改良を加えましょう。そうでない場合は、もう一度最初からやり直しましょう。
このヒントで最高のデザインコンサルタントを輩出しよう
デザインチームのニーズが進化し、より複雑になるにつれ、デザイン会社や組織は、社内デザインコンサルタントの雇用、トレーニング及び育成の利点と可能性が、外部コンサルタントの導入の必要性を上回っていることに気づきました。
社内デザインコンサルタントは、スポーツチームのキャプテンとして新しいシーズンに向けてチームを安定させ、新たな高みへと導いてくれる存在だと考えてください。彼らの仕事は、パフォーマンスを上げ、「プレーヤー」の能力を最大限に引き出すことなのです。
社内デザインコンサルタントは、すでにデザインサービスにおける重要性を示しており、近い将来、あらゆる職場でデザイン思考の重要な推進力となることでしょう。彼らは、製品デザインプロセスにおける一貫性を確保し、デザイナーが目指すものと、デベロッパーがデザインシステムの必要性をどのように理解しているかとの間のギャップを埋めるサポートをします。
生産性を上げよう
社内デザインコンサルタントはデザイン思考の完璧な支持者であり、UXPinのようなデザインツールで武装することで、デザインチームを最大限に活かし、生産性を上げることができるようになったのです。
UXPinには「Merge」という技術があり、デジタル製品の構成要素である機能的なUIコンポーネントを正確に使ってプロトタイプを構築することができ、事実上、デザインのハンドオフがよりスムーズになります。デベロッパーは、構築する必要があるものを正確に把握することができ、デザイン要素の背後にあるコードをコピーして、そのプロセスで使うことができます。その結果、デザインと開発間の透明性が高まり、会社全体がより明確になるのです。