ステークホルダー インタビューで使いたい質問とその方法
ステークホルダーインタビューは、初めて参加する人にとっては不安で圧倒されるような体験かもしれませんが、UXデザインにとって非常に重要なものです。
本記事では、ステークホルダーインタビューを計画から実施するための7ステップのテンプレート(質問の作成方法など)を紹介します。
UXPinの高品質でインタラクティブなプロトタイプを使って、ステークホルダーインタビューから有意義なフィードバックを得ませんか。無料トライアルにサインアップして、UXPinの高忠実なデザインおよびプロトタイプ機能をぜひお試しください。
内部および外部の ステークホルダー
内部ステークホルダーとは、従業員、経営陣、幹部、取締役会、株主など、組織内の人々を指し、このような内部ステークホルダーは、企業の意思決定や運営にダイレクトに関心があります。
外部ステークホルダーとは、顧客、サプライヤー、専門家、債権者、地域社会など、組織に間接的に関心がある人たちのことです。このような人々は意思決定権はありませんが、会社の行動は彼らに影響を与えるかもしれません。例えば、値上げは顧客に影響を与え、製品の製造中止はサプライヤーに影響を与えるかもしれないですよね。
今回は、デザインプロジェクトにおける内部ステークホルダー(および外部の専門家)とそのインタビュー方法に焦点を当てます。
デザインプロジェクトにおける ステークホルダー の役割
ステークホルダーは、デザインプロジェクトの目標、目的、要件、スコープ、予算、タイムラインについて意見を出し、プロジェクトが目標や目的を達成できるように、デザインプロセスを通じてフィードバックやサポート、アドバイスを行います。
なので、インタビュー対象者のそれぞれの役割や関心を理解することで、コミュニケーションが円滑になり、プロジェクトが彼らの期待に応えられるようになります。
ステークホルダー インタビューの目的
ステークホルダー インタビューには、目的がいくつかあります。
ビジネスゴールの理解
ステークホルダーは、プロジェクトの目標や目的、そしてそれが自分の部署や組織とどのように関連しているのかの全体像を把握していることから、デザイナーは、プロジェクトの着手前にステークホルダーにインタビューすることで、彼らの戦略的優先順位とそれがプロジェクトとどのように関連しているかを理解することができます。
プロジェクトの制約条件の把握
プロジェクトにはすべて、技術、予算、時間、労働力など、デザイナーがその範囲内で仕事をしないといけない制約がありますが、ステークホルダーによって、デザイナーはそのような制約を理解し、それがプロジェクトのデザインや最終的なリリースにどのような影響を与えるかがわかります。
エンドユーザーニーズの把握
ステークホルダーがデザインプロジェクトを始めるのは、ユーザーニーズやペインポイントを特定したことがきっかけであることが多いことから、そのステークホルダーと話すことで、デザイナーは問題を理解し、既存のユーザーリサーチを確認し、必要と思われる追加の UX リサーチについて話し合うことができます。
ステークホルダーとの意見交換
デザイナーは、デザインプロセスを通じて、ステークホルダーと定期的に意見交換を行いますが、このセッションでデザイナーはコンセプトを説明し、実現可能性や実用性についてステークホルダーに質問しないといけません。例えば、デザインチームがあるアイデアを思いつき、それを製品の現在の技術スタックでサポートできるかどうかを知るために、技術的なステークホルダーに話を聞きに行くことがあるかもしれません。
ステークホルダー の賛同とサポート
デザイナーは、デザインプロセスのさまざまな段階で賛同を得ないといけないことがよくありますが、ステークホルダーインタビューには、主要なステークホルダーと話すことや、デザインコンセプトやイニシアチブの提唱を支援してくれそうな意思決定者のサポートを得ることが含まれます。
対立する意見の仲介
各部門の異なる戦略目標や優先順位に基づき、ステークホルダーがの意見が対立するというのは珍しくありません。このようなインタビューでは、デザイナーがインタビューを仲介してどちらにもメリットがあるような解決策を見出さなければならないので、厄介なことになることがあります。なので例えば、デザイナーは、両者の考えをある程度妥協して取り入れたコンセプトを提示することがあるかもしれません。
ステークホルダー インタビューの準備と実施方法
1:ステークホルダー分析の実施
ステークホルダー分析とは、プロジェクトに影響を与える人たちを特定するプロセスです。デザイナーはその結果をもとにステークホルダーをリストアップし、セグメント化することで、主な意思決定をする人とそのビジネスニーズに焦点を当てることができます。
さらに読む:ステークホルダー分析 とは?実施方法の紹介
2.ステークホルダーの調査
まずは、ステークホルダーの立場、関心、目標を理解し、それがプロジェクトとどのように関連しているかを理解しましょう。この準備によって、相手のニーズに合わせて質問や会話を調整することができますから。
ステークホルダーも多忙でありながら時間を割いてくれています。特に専門家や管理職、経営者などに質問をする際はより気をつけたいところです。
3.インタビューの目標設定
ステークホルダーからどのようなインサイトを学びたいですか?なぜステークホルダーと話をしたいのかを探ることは、インタビューのゴールを設定する上で非常に重要です。
インタビューの目標として、例えば以下のようなものがあります:
- ステークホルダーのビジネスゴール
- 製品の技術的な限界
- このプロジェクトにおけるステークホルダーの成功の定義
- 主要な競合他社
- このプロジェクトの主要な業績評価指標/指標(KPI)
インタビューの目標を明確にすることで、適切な質問をすることができるでしょう。
4.質問リストの用意
ステークホルダーの「ニーズ」と「要望」に関するインサイトを得られるような質問のリストを用意しましょう。ステークホルダーへのインタビューに最適なアプローチは、そのトピックについて何も知らないかのように質問することです。この質問スタイルだと、ステークホルダーはより詳細な説明をしようと促されます。
ステークホルダーインタビューの質問は、ユーザーインタビューと似ています。偏りのない回答を得るために、自由形式(5W1H)の質問をすることをお勧めします。そしてインタビューの目的に応じて、ステークホルダーに詳しく説明してほしい事項や、もっと詳しく説明してほしいことを特定しましょう。
UX 会社のAdam Fardの創設者であるアダム・ファード氏は会話のようなトーンを保つことを推奨しています。
“Remember, the interview should be steered in a more conversational direction. Although preparing specific questions is important, avoid asking them in a way that makes it seem like you’re just checking off bullet points on a list.”
「インタビューは、できるだけ会話に近いかたちにするようにしてください。具体的な質問を用意することは重要ですが、リストの箇条書きにチェックを入れるだけのような聞き方は避けましょう。」
(日本語訳)
また、インタビューの時間が足りなくなったときのために、質問に優先順位をつけて、重要なものから順に質問していくといいでしょう。
5.アジェンダの設定
おさえたいトピックと、各トピックにかける時間についてのアジェンダを作成しましょう。インタビューを構成することで、会話をスムーズに進め、質問を全部終わらせられるでしょう。
また、ステークホルダーインタビューは通常30~60分程度なので、各トピックをカバーするのに必要な時間を現実的に考えておきましょう。
6.インタビューの実施
ステークホルダーが許可した場合、インタビューの録音は、今後の分析に最適です。インタビューを録音することで、詳細なメモを取る必要がなくなり、ステークホルダーの回答に100%集中することができますからね。インタビューを録音する許可が得られない場合は、チームメンバーにメモを取ってもらい、会話に集中できるようにしましょう。
まずは自己紹介をして、取り組んでいるプロジェクト、インタビューの理由(2番目の過程で設定した『目標』)を説明します。
質問は必ず、ステークホルダーに組織での役割やプロジェクトでの関心について聞くことから始めましょう。また、チームや部署が取り組んでいること(優先順位など)、追跡しているメトリクス、四半期や年間の目標なども聞いておくといいでしょう。その情報をもとに、相手の動機がわかってくるでしょうからね。
NNグループのサラ・ギボンズ氏は、例えば、より詳細な情報が欲しいときに、次のような形式で詳細なフォローアップタイプの質問を使うのを勧めています:
- …についてさらに詳しく教えて頂けますか
- …をもっと詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか
- 例えばどのようなことでしょうか
- 前回…したことについてお伺いできますでしょうか
- …についてどのようにお思いでしょうか
または、以下のように具体的な「考え」に関することもいいですね:
- なぜそのように感じたのか、教えてください
- なぜそれをしたのか教えてください
- なぜそのことがあなたには重要なのでしょうか
- なぜそのことが印象に残っていますか
上記の質問は、最初の質問よりも重要です。チームがすでに試したことの理由やインサイトが得られるので、同じことを繰り返して時間を無駄にすることがありませんからね。
質問を一通り終えたら、最後に 「他に誰と話すべきか?」と尋ねてインタビューを終了します。この質問は、ステークホルダーが包括的な答えを出せなかったり、特定の詳細について不明な点がある場合に特に重要です。
7.アフターフォロー
ステークホルダーが時間を割いてくれたことに感謝し、追加情報やリソースの共有について思い出させるために、メールでアフターフォローすることは必要です。
UXPinで ステークホルダー との関係を強化して賛同を増やす
UXPinのインタラクティブなプロトタイプで、ステークホルダーは最終製品と同じようにデザインコンセプトを体験できます。このような高品質なプロトタイプで、ステークホルダーとの関係において、以下のような重要な利点がもたらされます:
- デザインチームの自信の向上
- アイデアの賛同者の増加
- より良いユーザビリティ・テスト
- より多くのビジネスチャンスの特定およびテスト
- ステークホルダーの意見の改善
- 最終製品のUX の強化
- デザインハンドオフの摩擦の最小化
- 市場投入までの時間短縮
UXPin のコメント機能を使えば、ステークホルダーが UXPin のアカウントを持っていなくても、フィードバックを残したり、チームメンバーにコメントを割り当てたりすることができますので、デザイナー以外の方との連携に最適です。
UXPin の高品質なインタラクティブプロトタイプで、ステークホルダーの連携と関係を強化しませんか。UXPin の無料トライアルにぜひお申し込みください。