DPM(デザインプログラムマネージャー)が与える影響とは?
Uberのシニア DPM (Design Program Manager)であるMaggie Dieringer(マギー・ディエリンガー氏)様に、2022年3月にUXPinが主催したデザインバリュー会議で登壇いただきました。
彼女は2016年からUberで DPM としてRidesとEatsのプロダクトに携わり、世界最高の技術者たちと一緒に働くという貴重な経験を積んできました。
デザインバリュー会議 2022 での30分の講演で、彼女はUberの DesignOps を一から構築するのに貢献した方法についてインサイトを語りました。デザインチームやステークホルダーと連携する際にDPMが考慮すべき3つの重要な「フレーミング要因」など、 DesignOps に対する彼女の実践的なアプローチについて話しています。
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DPM (デザインプログラムマネージャー)とは
ここでは、DPMという職種に馴染みのない方に、より理解していただくべく以下に定義を簡単にご紹介します。
DPM(デザインプログラムマネージャー)は、UXチームと密に連携し、タスクやプロジェクトを完了するのに必要な運営面でのサポートを提供します。DPMの仕事は、DesignOpsのビジョンとロードマップの実行であり、通常は DesignOps リーダーの指示のもとで行います。
Uberの DesignOps
マギーがUberに入社したとき、DesignOpsチームには自身を含めて2人が所属しており、チームは7つのカテゴリーをカバーしていました:
- DesignOps:ツール、設備管理、組織管理、DPMブランドなど。
- ポートフォリオ計画:年間計画、半年計画、チームを超えたスケーリングプラクティス、MTR、ヘッドカウントコミュ二ケーションなど
- ロードマップ管理:優先順位付け、カットラインの管理、リーダーシップとのスタックランキング、スコーピング、シーケンス、QA、品質の支持者など。.
- コミュニケーションとイベント:外部ブランド、採用経験、オフィス文化、チーム/社内/業界イベント、チームミーティング、祝賀と表彰、チームの健康、など。
- モデリング、トラッキング、レポーティング: リソーシング&アロケーション、作業の交渉、依存関係のトラッキング、作業の取り込み、UXアロケーションの報告、キックオフ、クリット管理、デザインレビューのテンプレート化、など。
- 財務と成長:予算/T&E/モラールトラッキング、人員配置、成長シナリオ、プレイブックとツールキットなど。
- L&D:トレーニング、社内外のスキルシェア、社外デザインイベント、オンボーディング、タレントレビュー/プロモ管理、キャリアパス、コンペテンシー、インスパイアチーム、外部スピーカー、など。
2022年3月現在、UberのDesignOpsチームは、北米、ヨーロッパ、中東、アフリカ、南米にある6つのオフィスをサポートする16人のチームメンバーに成長し、さらに4人のチームメンバーがチームの垣根を超えてDesignOpsの戦略ポジションで仕事をしています。
- TeamOps & ResearchOps × 6名
- プロダクトDPM x 12名
- ディレクター&ストラテジック x 4名
Uberの DPM の役割のフレーミングとスケーリングへのアプローチ
マギーは、様々なレベルでDPMの影響力を高めるためのチームの戦略について以下の3点について話しました。
- (企業の現在の優先順位に応じたニーズに応じた)DPMのフレーミング及びスケーリング
- DPMのインパクトの向上
- DPMの軌道のサポート
DPM のフレーミング及びスケーリング
「どこに時間を使うのがベストなのか」「その時間で確実に最大の効果を発揮するにはどうすればいいのか」と自問してみてください。
マギーは、何かをするのにやり方に正解も不正解もなく、インパクトに焦点を当てた仕事を組み立てていくべきであると考えています。このアプローチは、「我々の成功は、自らの仕事が製品、ビジネス、デザイン、そして顧客体験に与えるインパクトに基づいています。このインパクトは、組織的、戦略的、あるいは実行的なものであるかもしれません」という、UberのDesignOpsの原則の1つと一致しています。
彼女は、日々最も影響を与えるフレーミングの要因を3つ挙げています:
- デザインチームの規模や組織の状態
- どんなリソーシング、アロケーション環境なのか
- 主要なデザインパートナーのレベル
フレームワーク要因1:デザイン組織の規模と状態
組織の状態や規模は、どのレベルのチームを管理・サポートするかに大きく影響します。
「組織の状態やチームの規模に関係なく、チームの現状を把握します。」 シニアDPMー マギー・ディエリンガー氏(Uber)
状態:
- チームの歴史の長さ
- 組織の成熟度
規模:
- サポートするデザインチーム、エリア、サブエリア、ポートフォリオの規模
デザイン組織の状態
マギーは、チームの状態と成熟度を、初期段階から確立段階までで定めています。DPMのアプローチはスペクトルの両端では全然違ってくることから、この定義は重要になってきます。
例えば、DPMは、できて間もない組織では、成長と発展を促すためのプロセスやフレームワークの導入に重点を置くことになりますが、既存のチームでは、成長に対応するために、進化、反復、伝道、既存のプロセスやフレームワークの改善に焦点を当てます。
デザイン組織の規模
規模は、最初のフレーム要因のもう一つの要素であり、マギーは、チームメンバーが10~15人の場合を【低】、30~50人の場合を【高】にして、同じようなスペクトルを使用しています。
業界標準では、10~15人のデザイナーにつき1人のDPMが必要ですが、多くのDesignOps専門家にとってこの比率は現実的ではありません。
15対1の割合で、DPMはデザインチームと統合して、以下のようなタスクを含むきめ細かいサポートを提供することができます:
- ICデザイナーとの毎日のミーティング
- チームミーティングの管理・運営
- デザインレビューへの参加と運営
- プロジェクト管理
- ミクロレベルでの連携の最適化
比率が高くなるにつれて、DPMはハイレベルなアプローチに向かいます:
- ICデザイナーとの月例ミーティング
- マネージャーと毎日のミーティング
- 数ヶ月に一度、クリットに参加
- デザインレビューに参加し、点と点を結ぶ手助けをする
- マクロレベルでの連携
- ビジョンエクササイズ
フレームワーク要因2:デザインチームの人材
エンゲージメントとスタッフィングモデルの設定方法、およびアロケーションと組織戦略は、DesignOpsをどのように活用できるか又は活用していくかに非常に大きな影響を与える可能性があります。
エンゲージメントモデル:
- チームはどのようなタイプの人材配置を行っているか
アロケーション:
- 自身がサポートするチームは、十分な人員配置や無駄のない運営がされているか?
エンゲージメントモデル
Maggieは、組織の人材配置モデルを特定するために、【フレキシブル】と【フルタイム】の2種類のスペクトルを使用しています。フレーミング要因1の「サイズ」と同様、人材配置モデルによって、DPMがどのレベルでチームと関わることができるかを判断することができるのです。
フレキシブルモデルでは、DPMは1つの分野に深く入り込む必要があるかもしれませんが、完全な専用モデルでは、多くの分野にわたってより全体像に焦点を絞ることができます。
アロケーション
リソーシングに関するもう一つの考慮点は、その企業が人材確保に制約があるのか、成長モード(積極的な採用)にあるのか、あるいはその中間なのか、ということです。人員配置に制約がある場合、DPMは利用可能なすべての人材を駆使して、クリエイティブに仕事を進めなければなりません。
成長モードでは、DPMはより自由に、高いレベルのビジョンや組織の成長戦略を見ることができます。
フレームワーク要因3.業務提携のレベル
レベル:
- 主にIC(個人貢献者)、リード、マネージャー、またはディレクターとの業務提携を組んでいるか?
経験:
- 提携パートナーはDPMと仕事をしたことがあるか?
レベル
デザインマネージャーや中間管理職と仕事をするとき、マギーは、負荷分散、チームの健康、デザインとの連携方法に関する教育、その他のサポート役など、一つの分野や活動に集中することが多いことに気づきました。
一方、ディレクターレベルでは、ディレクター直属のリーダーシップチームの編成、組織戦略、チーム間の依存関係の検討、プログラムの拡張、より広範なチーム全体の活動などに取り組みます。
経験
要因3の2つ目の考慮点は、提携パートナーがDesignOpsに触れているか、また、以前にDPMと仕事をしたことがあるかということです。パートナーがDesignOpsに馴染みがない場合、DPMの役割について教育し、どこまで求めるかを決めるのが非常に重要です。
マギーは、DPMは業務提携の開始時に、何を担当しないかを含め、それぞれの役割と責任を概説し、明確な境界線とビジョンを設定することが重要であると述べています。
DPM の影響力を高める
DPMとしての影響力を高めるには、あなたやあなたのチームがどの程度関与するのが望ましいかによって違ってきます。ここでもマギーは、活動の評価のためにスペクトルを使っています。
ズームインしているときは、DPMはより実践的で、チームと協力して日常的な作業を行いますが、ズームアウトしているときは、アドボカシー、戦略、プランニングに重点を置いています。
DPMがズームインとズームアウトのどちらのレベルで活動できるかは、チームの規模やデザイナーとDPMの比率が大きく影響します。
「我々はその規模を利用して、望ましいDPMの関わり方を促します。」 – シニアDPM マギー・ディエリンガー氏(Uber)
DPMの軌道をサポートする
DPMの長期的な目標を考えるとき、マギーはこの5つの重要な質問をよく投げかけます:
- 日々どのような活動や環境が、自分に仕事のやりがいをもたらしてくれるのか?
- 自分がサポートするチームに対して、何が今最もインパクトと影響力を持つのか?
- 自分のキャリアにとって重要なことに取り組むには、提携パートナーをどのように活用すればいいのか?
- 望ましい行動や関わり方に影響を与えるには、チームの規模をどのように利用すればいいのか?
- 自分は戦術的な活動か戦略的な活動か、あるいはその両方が得意なのか?
彼女は、DPMが上記の3つの要素を使ってフレームワーク演習を行い、自分たちが最も影響を与えられると思う場所をプロットすることを勧めています。
この3つのフレーム要因に記載された活動を踏まえて:
- 今日のあなたはどこにいますか?
- あなたはどこにいたいですか?
- あなたのチームはどこにいたいですか?
マギーの30分間のDesignOps Layers of Impactウェビナー全編をYouTubeでご覧ください。読むのが好きな方は、カンファレンスの全容をまとめたブログ記事をご覧ください。
UXPin MergeでDPMのインパクトを高める
UXPin Mergeで、デザインの一貫性とデザインチームと開発チーム間の連携の強化が実現します。デザインプロセスを最適化し、より早くインパクトを与えるために、DPMなら誰でも備えるべきツールの1つです。UXPin Merge をチェックして、あなたの組織でどのようにデザインを成熟させることができるかをご覧ください。