Webデザインにおける タイポグラフィ – フォントの選び方

Webデザインにおける タイポグラフィ - フォントの選び方

タイポグラフィは、ユーザビリティ・アクセシビリティ・ブランディング・読みやすさ・美しさなど、他の多くのUIデザイン要素に大きく影響することから、Webサイトのデザインにおいて最も重要な要素の1つです。そこで本記事では、WebサイトでUXデザインを向させる「タイポグラフィ」について、基礎知識、デザインを決める際で使えるテクニックをご紹介します。

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Webデザインで「 タイポグラフィ 」が重要な理由

 タイポグラフィ は、WebサイトのUX(ユーザーエクスペリエンス)、読みやすさ、美しさ、アクセシビリティに大きく影響します。巧みなタイポグラフィで、ビジュアルヒエラルキーは充実し、それによってメッセージとブランドアイデンティティを強化すると同時に、UI(ユーザーインターフェース)でユーザーを誘導します。

また、書体やサイズ、間隔など、タイポグラフィの要素を意図的に選択することで、デザイナーは、情報を効果的に伝え、ユーザーを惹きつける、まとまりのある視覚的に魅力的な Webページを作ることができます。

厳密に選ばれた書体は、信頼感、プロ意識、遊び心などを連想させて、それがブランドや商品へのイメージのを形成するなど、ユーザーの知覚や感情に影響を与えます。タイポグラフィの洗練に時間や労力をかけるというのは、デザイナーにとって、ユーザーの満足度、エンゲージメント、維持率を高める、ユーザーに優しく視覚的に魅力的なデジタル体験を生み出すために非常に重要なことなのです。

 タイポグラフィ 、書体、フォントの違い

Webデザインにおけるタイポグラフィ - フォントの選び方 - 適切な書体とは?

 タイポグラフィ は、デジタルや印刷媒体におけるテキストの全体的なデザイン、レイアウト、外観などを含むため広い概念で表現されます。活字を配置する芸術および技術であって、書体の選択、サイズ、行間、文字間、テキストの配置などのさまざまな側面から構成されます。

書体は、一貫したデザインと視覚的な外観を持つ文字、記号、グリフの集合体であり、フォントファミリーを確定するさまざまなスタイル、ウェイト、バリエーションを含む、より広いデザインコンセプトを表すものです。書体の例としては、Helvetica、Times New Roman、Arial などがあります。

フォントは、書体の中の特定のバリエーションであり、特定のスタイル、フォントのウェイト、サイズで書体をデジタルで表現したものです。また、書体ファミリーの各フォントは、強調、階層、美観のための様々な選択肢を提供すると同時に、全体的なデザインの一貫性を維持します。

例えば、Helvetica書体の中には、Helvetica Regular、Helvetica Bold、Helvetica Light、Helvetica Italic といったフォントがあります。

 タイポグラフィ の基礎知識

書体の内容

デザイナーがフォントを選択し、使用する際には、書体の内訳を理解しておくことが重要です。知っておくべき用語で重要なのは、以下のようなものがあります:

  • ベースライン: 見えない線であり、その上に文字が並ぶ。
  • キャップハイト: ベースラインから測る大文字の高さ。
  • エックスハイト: 小文字の高さのことで、通常は文字の「x」を使って測る。
  • アセンダ: 文字が エックスハイトより上に伸びている部分。
  • ディセンダ: ベースラインより下に伸びている文字の部分。
  • セリフ:一部の書体で、文字の末尾に加えられた装飾的な小さなストローク。
  • カウンタ: 文字内の囲われた、または部分的に囲われた空間。

書体の分類

書体は以下のようないくつかの大きなカテゴリーに分類され、それぞれに特徴や用途があります:

  • セリフ:例えば Times New Roman や Georgia など、文字の端に小さなストローク(セリフ)が付いている書体であり、伝統や専門性、権威を感じさせることが多い。
  • サンセリフ:飾り(セリフ)がない(サン)ため、すっきりとしたモダンな印象の書体。Helvetica や Arial などに代表され、デジタルインターフェースに適しており、可読性に優れている。
  • スラブセリフ:ブロックのような太いセリフが特徴的な書体。例えば Rockwell や Clarendon など、注意を引きやすく、見出しや表示用に効果的。
  • スクリプト:手書きやカリグラフィーを模した書体。例として Pacifico や Brush Script が挙げられ、主にロゴマークや招待状、ヘッダーなどに使われる。
  • 等幅フォント:各文字の幅が固定されているため、例えば、Courier や Consolas など、コーディング環境やタイプライターで好まれる書体。

フォントの形式

  • TTF(TrueType): Apple と Microsoft によって開発されたものであり、様々なデバイスや解像度で良好な表示品質を提供し、広く支持されているフォント形式。
  • OTF(OpenType):TrueTypeの拡張版。合字や代替グリフなどの高度なタイポグラフィ機能を備えており、より柔軟なデザインが可能。
  • WOFF/WOFF2(Web Open Font Format):Web での使用に特化して設計されており、TTF や OTF フォーマットと比べて、読み込み時間の短縮と圧縮率の向上が実現される。OpenType フォントと同じ機能に対応しているが、Web 向けの性能のために最適化されている。

正しい書体の選択

Webデザインにおけるタイポグラフィ - フォントの選び方 - 正しい書体の選択

「見やすさ」と「読みやすさ」

ユーザーが Webサイトのコンテンツを読みやすくするには、見やすくて読みやすい書体を選択することが重要です。ちなみにここで言う「見やすさ」とは、個々の文字の明瞭さ(見読性)であり、「読みやすさ」とは、文章全体の理解しやすさ(可読性)のことを言います。

また、文字が明瞭で識別しやすく、エックスハイトやウェイト、スペースのバランスがとれたフォントを選び、本文には、過度に装飾的な書体や凝縮された書体を使わないようにしましょう

例えば 本文には、Open SansやRobotoのような、画面上での読みやすさと可読性に最適なサンセリフ書体の使用を検討しましょう。

トーンとブランドアイデンティティ

書体は、さまざまな感情や認識を呼び起こすことができるため、ブランドのトーンやアイデンティティと一致させるべきです。ちなみに、セリフ体の書体は伝統と権威を、サンセリフ体の書体はモダンでクリーンな印象を与えることが多いです。

また、スクリプト書体は、そのスタイルによって、エレガンスや遊び心を加えることができます。ブランドの個性を分析し、それをサポートし引き立てる書体を選びましょう。

例えば、Playfair Display のような洗練されたセリフ体だと、高級ブランドのエレガンスな印象や洗練さが伝わるでしょう。

書体の組合わせとコントラスト

書体の効果的な組合わせは、視覚的な調和と明確なヒエラルキーを確立してくれます。なので書体を組み合わせる際には、十分なコントラストがあり、衝突することなく区別できるような補完的なスタイルを探しましょう。

セリフ体とサンセリフ体の混在は、形式とモダンのバランスを取ることができるため、標準的な方法です。ペアとなる書体間がきちんとまとまるように、ウェイト、幅、エックスハイトを考慮しましょう。

例えば、見出しには Merriweather のようなセリフ書体を、本文には Lato のようなサンセリフ書体を組み合わせることがよくあります。

フォントのライセンスと法的考察

ライセンス契約や法的な配慮を理解し、遵守することは非常に重要です。フォントは知的財産であり、著作権法によって使用が制限されたり、ライセンスの購入が必要になる場合がありますからね。商用利用可能な無料のオープンソースフォントもありますので、プロジェクトで使用する前に、必ずフォントの利用規約を確認しましょう。

例えば、Google Fontsでは、Montserrat や Raleway などのオープンソースフォントを豊富に取り揃えており、個人・商用プロジェクトに無料で利用できます。

Webフォントの性能と最適化

Webデザインにおけるタイポグラフィ - フォントの選び方 - Webフォント

フォントの最適化は一般的にデベロッパーが担当しますが、デザイナーは 連携して UX やアクセシビリティを上げることができるように、さまざまな戦略やベストプラクティスへを理解しておかないといけません。

フォントのデリバリー方法の選択

フォントのデリバリー方法の正しい選択は、性能と UX のバランスをとるのに重要です。

選択肢は以下の2つです:

  • セルフホスティング:フォントは、サーバーまたは CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)から保存および提供され、この方法は、フォントファイルとキャッシュをよりコントロールできるが、メンテナンス、設定、およびライセンスに関する追加の考慮が必要になる場合がある。
  • Webフォントサービス:フォントは外部プロバイダーから提供されるため、ライセンス、ファイル形式の変換、および更新がシンプルになるが、外部サービスに依存することで、サードパーティへの依存やパフォーマンスのボトルネックになる可能性がある。

フォントファイルの最適化およびファイルサイズの最小化

フォントファイルを最適化し、そのサイズを最小化することは、Web の性能向上や読み込み時間の短縮に非常に重要です。また、最適化されたフォントファイルを生成し、必要なフォントスタイル、ウェイト、文字セットのみを提供するのに Font Squirrel の Webfont Generator や Google Fonts などのツールを使いましょう。WOFF2フォーマットなどの圧縮技術により、ファイルサイズを小さくするのもいいでしょう。

フォント読み込みの戦略と性能のベストプラクティス

効果的なフォント読み込みの戦略を導入することで、レイアウトのずれを防ぎ、Web サイトの性能が上がります。ベストプラクティスとしては、「font-display CSSプロパティを使ったレンダリング動作の制御」、「プリロードまたは非同期ロード技術の採用」、「レンダーブロッキングリソース削減に向けた重要なフォントCSSのインライン化」、などがあります。

クロスプラットフォームでのレンダリング問題への対応

さまざまなデバイスやプラットフォームで一貫したタイポグラフィを実現するには、潜在的なレンダリングの問題への対処が重要です。なので矛盾の特定には、様々なブラウザ、OS、デバイスでタイポグラフィをテストしましょう。

また、Webkit-font-smoothing-moz-osx-font-smoothingなどのフォントスムージングやアンチエイリアシング技術を採用して、画面上でのフォントの見栄えを良くしましょう。

もし、このような技術的なことにとらわれたくなかったら、Google Fontsのようなサービスの利用が最適です。Google Fontsでは、複数のデバイスやプラットフォームのユーザーに正しいフォント形式を自動的に提供してくれます。

 タイポグラフィ とレスポンシブデザイン

scaling prototyping
    • 流動的なタイポグラフィとビューポート単位: ビューポート単位(vw、vh、vmin、vmax)を活用し、さまざまな画面サイズに対応する流動的なタイポグラフィーを実現する。このアプローチにより、ビューポートサイズが変わってもテキストがスムーズに拡大縮小され、さまざまなデバイスで読みやすさと可読性が維持される。
    • メディアクエリとブレークポイントベースの調整メディアクエリを使って、タイポグラフィスタイルを特定のスクリーンサイズに適応させるためのブレークポイントを確定する。また、フォントサイズ、行の高さ、その他のタイポグラフィープロパティを調整して、可読性を最適化し、様々なデバイスでのビジュアルヒエラルキーを維持する。
    • モジュール式スケールとタイポグラフィシステム:見出しや本文など、さまざまなテキスト要素間で一貫した比率の維持に、モジュラースケールを導入する。モジュラースケールとは、あらかじめ確定された比率に基づいたフォントサイズの並びのことで、それによってタイポグラフィ要素間の調和保証され、全体のデザインが強化される。
    • 縦方向のリズムと線の高さへの配慮:フォントサイズの1.4倍から1.6倍の高さに設定することで、デザインに一貫した縦方向のリズムを持たせることができる。この方法によって、可読性が上がって視覚的にバランスのとれたレイアウトになり、様々なデバイスや画面サイズでコンテンツがシームレスに流れるようになる。

    Web タイポグラフィ のアクセシビリティ

     

    accessibility

    フォントカラーのコントラストと可読性

    テキストと背景の間に十分な色のコントラスト を保証することは、特に視覚にハンデがある人へのの可読性やアクセシビリティにとって重要です。

    ちなみに、WCAG(ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン)に従うと、推奨される最小コントラスト比は、通常のテキストで4.5:1、大きなテキストで3:1です。UXPin に内蔵されているコントラストチェッカー色覚特性シミュレーターなどのツールを活用すると、キャンバスを離れることなくカラーパレットをその場で評価することができます。

    多様なデバイスに対応したフォントサイズとスケーリング

    適切なフォントサイズを選択し、さまざまなデバイスでスムーズにスケーリングできるようにすることは、見読性とアクセシビリティの維持には重要です。

    本文のフォントサイズは16pxが基本で、見出しはそれに比例して大きくすべきです。ユーザーが好みに応じてテキストのサイズを変更することができ、さまざまな画面サイズで適切なスケーリングを確保することができる em や rem のような相対的な単位を使いましょう。

    スクリーンリーダーや支援技術への対応

    スクリーンリーダーなどの支援技術と相性の良い タイポグラフィ のデザインは、視覚や認知にハンデがあるユーザーにとって非常に重要です。

    見出し(h1-h6)や段落(p)などの セマンティックHTMLタグ を使い、コンテンツの階層を明確にしましょう。この区別によってスクリーンリーダーはユーザーをナビゲートでき、コンテンツを効果的に伝えることができます。

    国際化・ローカライゼーションのベストプラクティス

    海外向けのデザインやコンテンツの地域化を行う場合、さまざまな言語や文字、文化的背景に対応するタイポグラフィのベストプラクティスを考慮することが重要です。

    さまざまな言語で必要とされる文字、アクセント、特殊記号に幅広く対応する書体を選びましょう。また、読む方向(左から右、右から左)にも気を配り、その違いに対応できるようなデザインを心がけましょう。

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