PayPalデザインチームを超えたDesignOps:エンジニアと働く秘訣
PaypalのUX Lead EPXであるエリカ・ライダー氏 とPayPalは、UXPinを知らないわけではありません。彼女は長年にわたってUXPin Mergeを賞賛し、この技術がPayPalの社内製品開発プロセスにどのような革命をもたらしたかを声高に語っています。
彼女はデザインバリュー会議2022で、デジタル決済の一大企業におけるデザインをスケーリングさせるための新しいフレームワークである、PayPalのDesignOps 2.0について語っています。
PayPalの新製品開発ワークフローの開発において、UXPin Mergeが重要な役割を果たしました。UXPin Merge へのアクセス権をリクエストして UXPin Merge をご体験いただき、コードベースのデザインがエンドツーエンドのデザインプロセスにどのような革命をもたらすかをご覧ください。無料トライアルにサインアップして、MUI ライブラリとの統合によるコードコンポーネントでのデザインで UXPin Merge をぜひお試しください。
従来のDesignOpsとDesignOps 2.0
UXデザイナーが自身を含めて5人しかいない状況で、エリカは従来のDesignOpsモデルがPayPalのニーズに合わないことに気づきました。DesignOpsの原則は、大規模なデザイン組織には有効ですが、5人のチームには合わないのです。
1000人以上のエンジニアを抱えるPayPalのDesignOpsは、デザインと開発を効率化されたエンドツーエンドの製品開発ワークフローに組み込まなければいけませんでした。
DesignOps 2.0には以下が求められました:
- すべてのツールで一貫した予測可能なユーザー体験の提供
- 製品チームが有用で使い勝手の良い製品の提供できるようにする
- 新たなデザイナーを加えることなく、デザインを可能な限り効率よく大幅に拡張する
エリカとチームは、一般的なエンタープライズデザインソリューションをいくつか試した後、DesignOpsとDevOpsのハイブリッドフレームワークを作成する必要があることがわかりました。そこで彼女たちは、DesignOpsを作る代わりに、DevOpsの中でデザインを運用することにしたのです。
担当業務の進化
エリカは、自分のビジョンを実現するための鍵の1つは、UX(ユーザーエクスペリエンス)の責任をUXから組織の他の部分に移すことだと気づきました。デザインをDevOpsに組み込むということは、プロダクトチームとエンジニアリングチームが “良いUX “を持つ製品を提供しなければならないということなのです。
製品チーム
製品チームは、以下のようなUXの責任も負わなければなりませんでした:
- 優れたUXを備えた製品の提供
- UXチームと連携したユーザー調査の実施
- UXチームの指導のもとでのプロトタイプのデザイン
UXチーム
UXデザイナーは、デザイナーからビジョナリーやメンターへと進化を遂げ、部門の責務は以下のように変化していきました:
製品チームのための「自分でするUX」の実現
- PDチームが簡単に学んで使えるデザイン・調査ツール
PDチームへの指導と助言
- チームがチームの デザイン思考やユーザー中心のデザインをまとめる
- プラットフォームにおける各チームの位置づけを理解させる
プラットフォームレベルでのソリューションデザイン
- 共有できるサービスや、大抵の製品で必要とされるサービス
UXの大きな問題の解決
- ユーザーとプラットフォームとの信頼関係をどう築くか
- 定量的・定性的なユーザーデータをプラットフォーム上で直接収集するためのリアルタイムなユーザー調査分析の構築
UXに関するエンジニアリングチームの教育
エリカは、エンジニアが考えるUXを、美観を重視したUIから、ボトルネックやロードブロックを引き起こす問題へとシフトさせる必要がありました。
彼女は、エンジニアの視点からUXを示すために、製品開発のワークフローを作成しました。
- ビルドに失敗したが原因がわからない=エンジニアのUXがお粗末
- API契約変更があったのを知らなかった。誰に相談すればいいのか=エンジニアのUXがお粗末
彼女はまた、製品チームやエンジニアリングチームと、UXに関する問題について以下のようにいくつか議論しました:
- レイテンシ:ボタンをクリックしても読み込みに時間がかかるということは、お粗末なUXである
- 可用性:URLが読み込まれないということは、お粗末なUXである
- セキュリティ:もし誰かが私のアカウントをハッキングしたら、それは相当お粗末なUXである
- 「人間が読める」ものではない、あるいはユーザーが解決する術のないエラーメッセージ:なぜ、その意味も解決方法も告げずに、「エラーコード1578-B1273 – 失敗しました!」というメッセージがユーザーに表示されるのか?これもまた、お粗末なUXである。
エリカはこのような例を用いて、UXがフルスタックの問題であることをエンジニアリングチームに伝えました。エンジニアリングの問題、遅延、可用性、セキュリティなど、すべてUXに影響を与えるため、UXはこれら考慮するのです。
PayPalのDesignOps 2.0プロセスを進化させる
エリカが2019年にDesignOps 2.0を発表した当初、それはデザインを拡張し、小規模なデザインチームの作業をしやすくするためのものでした。
現在、彼女とチームは、デザイナーの作業負荷を軽減するためのシステムではなく、より良い製品を提供するための製品チームのためにDesignOps 2.0の最適化を検討しています。
エリカは、ユーザー調査を運用するためのシステムに取り組んでいます。「Getting to DesignOps 2.0」のロードマップには、完了するのに重要な3つのユーザー調査のコンポーネントが以下のようにまだ残っています:
- ユーザーへの理解
- UXの成功度の測定
- PDチームの説明責任
説明責任は、エリカが克服すべき最大の課題の1つであり、ほとんどの企業は、コントロールと説明責任のバランスが大きく崩れています。
- UXデザイナーは、ユーザーに提供されたUXのコントロールは0なのに、説明責任は100%負っている。
- エンジニアは、ユーザーに提供されたUXに対する説明責任は0なのに、コントロールは100%担っている。
優れたUXを持つ素晴らしい製品の提供には、デザイナーとエンジニアはバランスの取れたコントロールと説明責任を持たなければならないと彼女は考えています。UXチームはエンジニアと協力してPayPalの優れたUXを実現しますが、最終的な製品に対して説明責任を負うのはエンジニアなのです。
UXの成功度の測定
エリカとチームは、製品開発プロセスにおけるユーザーの行動と成功率を自動的に追跡するウィザード・ツールを開発しました。このツールによって、UXチームは問題の追跡や特定ができます。
ユーザーメトリクスの継続的かつ自動的な収集:
- デベロッパーは特別なコーディングは不要
- ウィザードコンポーネントのすべてのインスタンスのデータはPayPalのダッシュボードに自動的にフィードされる
完了までの時間や離脱率の追跡:
- ワークフローを完了するまでの総時間
- 各ステップを完了するまでの時間
- 総ドロップオフ率
- 最もドロップオフ率の高いステップ(ステップ固有の問題の特定に使用)
戦略的な割り込みによるリアルタイムの定性データ:
- ユーザーが困っているときに割り込みを発生させる
- ユーザーが条件を満たしたときのみ
ベースライン、ベンチマーク分析搭載:
- 完了までの時間が増えているか減っているか
- 離脱率は改善されているか
PayPalのDesignOps 2.0の詳細な説明と背景については、エリカ・ライダー氏による30分のデザインバリュー会議の講演をごぜひ覧ください。
エリカのチームにおけるUXPin Mergeのスケーリングされたデザイン
UXPin Mergeは、エリカがPayPalの新しい製品開発システムのビジョンを達成する上で極めて重要な役割を果たしました。
Mergeによって、彼女は製品チームが膨大なドキュメントやトレーニングなしに、完全に機能するプロトタイプを構築できるようになったのです。
PayPalは、63のReactプロトタイピングコンポーネントをレポジトリからUXPinのデザインエディタに同期し、製品チームとエンジニアリングチームがまったく同じUI要素を使用することで、組織全体で信頼できる唯一の情報源(Sigle source of truth)を提供します。
エンジニアと協力し、エリカはReactのコンポーネントプロップを使って制約を設定し、デザインの柔軟性を確保しました。このような制約により、PayPalの製品チームは100を超える社内製品に一貫した品質を提供することができます。
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