デザイン思考 におけるアイデア出しの手法とその重要性
ユーザーの問題に対して新しく革新的な解決策を考え出すのは、デザイナーの最も重要な仕事のひとつです。ではデザイナーは、どのようにして革新的なアイデアを生み出し続けることができるのでしょうか。その答えは、デザイン思考のアイデア出しのプロセスにあります。デザイナーは、既成概念にとらわれずに考え、仮説に挑戦し、新しい領域を探求することで、斬新なアイデアを思いつくことができるのです。本記事では、アイデア出しとは何か、その重要性やプロセス、そしてアイデア出しの適切な環境を作る方法についてお話します。
アイデア出しとは
アイデア出しとは、デザイン思考プロセスの第2段階であり、デザイン思考ワークショップの参加者が、特定のユーザーの問題を解決するためのアイデアを出すことです。ちなみに、デザイン思考のプロセスは【共感】【発想】【プロトタイプ】の3つの段階から構成されています。
デザイン思考のアイデア出しの段階は、「共感」の段階で確定されたユーザーの問題が指針になります。アイデア出しは、潜在的な解決策を探索・特定することですが、すべてのアイデアが実行可能な解決策になるとは限りませんし、それでも構いません。アイデア出しの主な目的は、創造性と革新性を呼び起こすことなのです。
デザイン思考 でアイデア出しが重要な理由
デザイナーは時々、「アイデア出しの目的」を問うことがありますが、その答えは、「ユーザーの抱える問題を理解し、その問題に対する解決策を導き出すまでの移行を示す」ことです。
アイデア出しで、デザイナーは自由な発想を得、現状に疑問を持ち、問題をさまざまな角度から見ることができるようになります。また、チームとして協力し、画期的な解決策を生み出す事もできるようにもなります。
デザイン思考 のアイデア出しを実行する方法:ステップバイステップガイド
ここでは、生産性のあるアイデア出しのために必要なステップをご紹介します。
ステップ1:問題を確定する
デザイン思考プロセスの共感フェーズで特定された問題点は、アイデア出しのセッションの指針となり、チームは、その問題を解決するためのアイデアを作り出します。
問題を「どのように〜できそうか」というフレーズを使って表現します。例えば、チームがアプリのお粗末なUX(ユーザーエクスペリエンス)の問題を解決する場合、質問は「どのように直感的なUXを作れそうか?」になります。このフレーズは、問題に対する解決策があることを暗示しながら、アイデア出しのセッションに焦点を当てます。
ステップ2:アイデア出しのスペースを選ぶ
アイデア出しセッションの場所は、参加者がいかに安全で快適に感じるかに大きく影響します。ホワイトボードや、筆記用具を設置できる十分な壁面スペースがある広い部屋を選びましょう。
普段チームが働いている環境から離れた場所を選ぶといいでしょう。新しい環境に身を置くことで、創造性や代替的な考え方が誘発されるものです。また、参加者の緊張をほぐすためにできることを、何か考えておくことも重要です。
ステップ3:時間制限を設ける
各問題に対するアイデア出しのセッションの時間をあらかじめ決めておき、それぞれの問題に対して、セッションで生み出されるべきアイデアの数を設定しておきましょう。このような制限は、セッションに勢いを与え、エネルギーを生み出し、アドレナリンを放出させ、さらなる創造性を呼び起こすでしょう。
ステップ4:アイデア出しの方法を選ぶ
チームがアイデアを出すために使えるアイデア出しのテクニックはいくつかありますが、最も一般的なものは以下の通りです:
- ブレーンストーム:グループ内で口頭でアイデアを出し合う
- マインドマップ:問題に関するキーワードから始めて、その周りにそれに関連するすべてのアイデアを書き込むことによって、視覚的にアイデアを出す
- ストーリーボード:ユーザーがどのように問題を解決していくのか、視覚的なストーリーを作成する
- 最悪な意見:創造的なブロックを取り除くために、最悪のアイデアを出す
アイデア出しのセッションを一つの技法に限定せず、複数を自由に使いましょう。そうすることで、チームが生み出すアイデアが最大になるのです。
ステップ5:アイデアをランク付けする
アイデア出しのセッションが計画通りに進めば、有望なもの、突拍子もないもの、クレイジーなものなど多種多様なアイデアが出てくるはずでしょう。参加者とともに、【有望なもの】、【面白いもの】、【型破りなもの】、【とんでもないもの】など、さまざまなカテゴリーに従ってアイデアを分類し、そして各カテゴリーごとに、アイデアに順位をつけましょう。どんなアイデアでも、将来あるいは他のデザインプロジェクトに役立つかもしれないので、捨てないでとっておきましょう。
ステップ6:プロトタイプのステージに移行するアイデアを選ぶ
デザイン思考におけるアイデア出しの最終目標は、プロトタイプ化し、テストできるようなアイデアを出すことです。プロトタイプにするアイデアを選択し、最終的にカットされなかったアイデアを記録しておきましょう。
アイデア出しのためにチームを正しい考え方に導く方法
デザイン思考のアイデア出しのプロセスがうまくいくかは、アプローチの仕方と雰囲気作りにかかっており、参加者全員が、型破りなアイデアも含めて表現できるような、安全で偏った決めつけのない環境作りが必要です。以下に、適切な雰囲気を作り出す方法をご紹介します:
どんなアイデアも受け付ける
創造性とオープンマインドを促すために、どんなアイデアも否定してはいけません。否定すると、セッションの雰囲気が悪くなります。目的は、できるだけ多くのアイデアを生み出すことであることを忘れないでください。すべてのアイデアを受け付けるだけでなく、「そうですね、それで…」というフレーズを使って、他の人のアイデアを膨らませるように参加者に促します。そうすることで、面白いアイデアや視点が生まれます。
話していることから脱線しない
アイデア出しのセッションが活発だと、チームは簡単に脱線してしまい、問題とは関係のない他の問題についてアイデア出しを始めてしまうことがあります。進行役であるあなたの仕事は、セッションを誘導し、アイデア出しのセッションに再び焦点を合わせることです。もし、あなたのチームが問題とは関係のない面白いアイデアを思いついたら、それは将来の参考のためにとりあえずメモしておき、セッションを手元の問題に戻すように誘導しましょう。
アイデアはすべて記録する
セッション中に出されたすべてのアイデアは確実に記録しておきましょう。進行役が秘書役として、ホワイトボードにアイデアを書き留めるといいでしょう。参加者が付箋紙やホワイトボードにアイデアを書き込んで記録するのもいいですね。
アイデアを記録する場合は、それを要約し、キーポイントを記録しましょう。たとえば、参加者が「ユーザー体験の向上のために、対話型のストーリーベースのアプリを作ったらどうか」と提案した場合、”対話型のストーリーベースのアプリを作る” と記録します。アイデアの取りこぼしがないように、アイデアは1つずつ取り組みましょう。
最適なデザインツールでアイデアをプロトタイプにしよう
デザイン思考のアイデア出しの段階で、デザインチームはデザイン上の問題に対する革新的な解決策を考え出すことができます。UXPinを使って、アイデア出しセッションで思いついたアイデアのプロトタイプを作成しませんか。今すぐUXPinの無料トライアルに登録して、アイデアを実物そっくりのプロトタイプに変換しましょう。